宮城県が進める仙台医療圏の4つの病院を再編する構想について、移転先とされた名取市と富谷市が新たな病院の建設候補地を県に示しました。

 県が進める仙台医療圏の再編構想では、名取市の県立がんセンターと太白区の仙台赤十字病院を統合して名取市に、名取市の県精神医療センターと青葉区の東北労災病院をそれぞれの経営主体は残したまま富谷市に集約させる方針です。

 名取市の山田司郎市長と富谷市の若生裕俊市長は27日午後県庁を訪れ、村井知事に移転先の候補地について提案しました。

 名取市の候補地は植松入生地区の4.8ヘクタールの民有地です。

 国道4号沿いにあり、仙台東部道路の名取中央スマートインターチェンジから1.3キロの場所です。東日本大震災の後に150戸の仮設住宅が建てられた土地で、今は更地になっています。

 富谷市の候補地は明石台地区のおよそ6ヘクタールの土地区画整理事業地です。

 東北自動車道泉インターチェンジからおよそ3キロ、仙台市地下鉄の泉中央駅から3.5キロほどの場所です。周辺は区画整備された住宅街に隣接し、2022年度中に土地利用の区画整備が完了する予定です。

 両方の候補地とも市が取得し市有地として県に無償提供します。

 両方の市の提案ではインターチェンジからのアクセスの良さから救急搬送の時間短縮になるとし、外来患者の交通の便も最寄りの駅からシャトルバスを運行して確保できると強調しました

 村井知事「一番関心のあるものについて両市長からきょう具体的な提案を頂いたというのは一歩前進だと受け止めております。これですべてが決まるわけではないですけれども一つの大きなたたき台ができた」

 一方、2つの病院が市外に移転することになる仙台市の郡市長は・・・。

 郡仙台市長「誘致をしたいという両市の思いの現れなんだろうと思いますけど、事前にお話しをお聞きしたかったと思います。多くの仙台市民が、医療関係者の方々が不安や疑念をお持ちになっておられるものですから、全てが固まってからお伝えするということは、あってはならない話だという風に認識しております」

 県は今後、再編の相手となるそれぞれの病院の経営主体である日本赤十字社と労働者健康安全機構に対し、今回提案を受けた用地を伝え、病院として適した場所かどうか検討を進めるとしています。

 県は診療科やベッド数、職員の数といった病院の概要について、2022年度中の基本合意を目指していて、今回の用地の提案により村井知事は「話をしやすくなった」と受け止めています。