宮城県が進める仙台医療圏の4つの病院の再編構想について、移転先とされた名取市と富谷市が先週、新たな病院の建設候補地を県に示しました。

 移転を反対し続けてきた市民団体は、県に対し病院の患者や周辺住民の理解を得る努力を求めています。

 県が進める仙台医療圏の再編構想では、名取市の県立がんセンターと太白区の仙台赤十字病院を統合して名取市に、名取市の県精神医療センターと青葉区の東北労災病院をそれぞれの経営主体は残したまま富谷市に集約させる方針です。

 新たな病院の建設候補地として、名取市は植松入生地区の国道4号沿いで4.8ヘクタールの民有地を、富谷市は市が区画整理を行っている明石台地区の約6ヘクタールの土地を提案しました。

 こうした動きに、東北労災病院の患者や医療従事者のほか青葉区の住民を中心に約300人で構成される東北労災病院を守る会の事務局長、小玉高弘さんは困惑を隠しきれません。

 東北労災病院を守る会小玉高弘事務局長「急というか、既に私たちが知らないところで話し合いがなされていて、既成事実を作るためにこういった場所の提供という話が計画されていたのではないかと疑わざるを得ないと」

 小玉さんは、情報開示に応じない県の進め方は患者や地域住民を置き去りにしていると指摘したうえで、丁寧に議論をし理解を得る努力をすべきと話します。

 東北労災病院を守る会小玉高弘事務局長「決して私たちは病院の移転・統合について頭ごなしに反対という立場ではありません。地域住民の健康に関わる事ですから、その辺をもっと丁寧に議論の過程をしっかりと開示をしながら、県民住民と一緒に医療を作っていくというスタイルが私は望ましいのではないかと」

 新たな病院の建設候補地が示されたことについて、青葉区内の連合町内会は近く開く総会で話し合い、4病院の再編構想に抗議する文書の提出を含め検討したいとしています。