局地的な大雨で甚大な被害をもたらす線状降水帯についてです。線状降水帯が発生する恐れがある場合、気象庁が6月から予測を出すことになりました。

 2015年9月に宮城県などを襲った関東・東北豪雨。各地で河川の氾濫が相次ぎ、県内で2人が亡くなるなど大きな被害が出ました。

 こうした集中豪雨の原因の一つが、局地的に大雨が降り続く線状降水帯です。

 その発生メカニズムには積乱雲が大きく関わっていると言います。

 東北大学災害科学国際研究所橋本雅和助教「線状降水帯は、ある条件がそろった時に積乱雲が次々と発生して線状に降雨帯が作られる。とにかく雨が降って河川氾濫が起きたり、都市の内水氾濫が起きたりする」

 発生すると大きな被害をもたらす線状降水帯。その被害を減らすため、気象庁は6月から予測を出すことになりました。

 仙台管区気象台紺野友希防災気象官「線状降水帯が発生する可能性が高まった場合に、大体半日前から6時間程度前をめどとして、

東北地方気象情報とか宮城県内ですと宮城県気象情報で(知らせる)」

 具体的には、気象庁のホームページなどに「東北地方では、何日の夜に線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があります」などと発表されます。

 こうした情報を得ることで、手遅れになる前に安全な場所へ避難できる効果が期待されています。

 一方で、線状降水帯の予測には課題もあります。

 予測は、全国を11ブロックに分け東北や関東甲信といった広い範囲で出されます。

 東北と言っても、太平洋側か日本海側かさえ分かりません。

 また、精度も低く4回に1回程度しか的中しません。

 それでも、気象庁では線状降水帯の予測が出るということは大雨の危険が高まっているということなので、警戒を強めるきっかけにしてほしいとしています。

 仙台管区気象台紺野友希防災気象官「災害に対する危機感を早めに持っていただき、ハザードマップや避難所、避難ルートの確認などを行っていただきたい。また、その後に発表される気象情報や警報など常に最新の気象情報を確認していただきたい」

 この予測は、2024年からは県単位で、2029年からは市町村単位で出せるようになるということです。

 まだ精度が低いという課題はありますが命を守る情報なので、出された時には早めの避難につなげることが大切です。