宮城県の女川原発で重大事故が起きたことを想定した住民が参加しての避難訓練が3年ぶりに行われ、県が導入を目指す避難支援アプリが初めて試されました。

 村井知事は31日の会見で効果は期待できるとし、原発事故に限らず他の災害でも活用したい考えを示しました。

 29日に行われた訓練には、女川原発周辺の6つの市と町の住民約270人が参加しました。

 住民が参加しての訓練は、新型コロナの感染拡大以降見送られていたため3年ぶりとなります。

 参加者「大事なことなので是非体験したくて、是非ということなので参加しました」

 訓練は地震による津波で女川原発2号機で事故が発生し、放射性物質が外部に放出されたという想定で行われました。

 訓練の目的は住民に避難手順や避難場所を周知するとともに、渋滞が起こりやすい場所など避難計画が抱える課題を検証することです。

 放射性物質に汚染されていないか検査するポイントでは渋滞が懸念されているため、南三陸町の検査所では所要時間を計測したほか、けがを負った上に被ばくした住民がいる想定で原子力災害拠点病院への救急搬送の手順も訓練しました。

 今回の訓練では、石巻市の牡鹿半島や女川町など原発から半径5キロ圏内からの避難には、県が導入を目指す避難支援アプリを活用するため事前にそれぞれのスマートフォンにアプリのインストールを呼び掛けました。

 50台を準備し、希望する住民に貸し出しました。

 女川町役場では、訓練の開始前にアプリの使い方が説明されましたが、インストールに手間取る住民もいました。

 参加者「ちょっと(インストールが)難しいようですね。この通りやってると思うんですけれども。まだ慣れていないもので、はい」「妻はしたけれども、自分は(インストール)していない。やり方分からない。3回くらいやったけれども失敗で分からないから止めた」

 訓練が始まると、アプリがインストールされたそれぞれのスマートフォンに避難先が通知されました。

 参加者「あ、来た。避難先を変更しました、速やかに避難してください」

 そして住民は、バスの避難先である大崎市の避難所に到着すると、これまでは手書きで行ってきた受付登録にアプリを使いました。

 インストールは難しくても、アプリでの受け付けを体験してもらうため、県はスマートフォン50台を準備し希望者に貸し出しました。

 参加者「自分の携帯が使い慣れないからできないけれど、いずれはちゃんとでき来るようにならないと。これは簡単にできるから、最初借りてやってみようと思ったの」

 一方で、これまで通りの名前や住所を手書きで書く方法の受け付けを選んだ住民もいました。

 参加者「難しいような感じがして、慣れればいいんだけどね。やっぱり触ったことも無いから書きました」

 訓練の現場を視察した村井知事は31日の会見で、アプリは被災者の安否確認や避難所運営の負担軽減などの効果が期待できるとし、他の災害でも活用していきたい考えを示しました。

 村井知事「アプリを使う人はスムーズに入っていただける。その分、紙に名前を書く人は減り、その分避難所の負担が軽くなって受け付けで並ぶ人数が減ってくる。いろんな相乗効果があったと思っています。全ての災害に適用できるように全市町村とやっていく」

 村井知事は避難に使ったこのアプリについて、政府が進めている行政手続きのデジタル化、デジタルトランスフォーメーションの柱にしたいと話していました。