絶滅が心配されてきたシジュウカラガンの渡りのルートと繁殖地が、宮城県栗原市の市民グループなどの調査で初めて分かりました。シジュウカラガンの繁殖の調査などに弾みがつくと期待されています。

 栗原市の日本雁を保護する会などが会見を開き明らかにしました。

 会などでは2021年12月、9羽のシジュウカラガンに発信器をつけ、その動向を電波で追跡してきました。

 その結果、9羽のうちの2羽が大崎市などの平野で冬を過ごした後、春に千島列島のエカルマ島に渡り、同じ年の秋に宮城県北部に戻ってきたことが初めて確認されました。

 エカルマ島の南東部が、シジュウカラガンの主な生息地で繁殖地であることも分かりました。

 日本雁を保護する会呉地正行会長「シジュウカラガンが具体的に夏にどこにいるのかというのが、かなりはっきりしたので繁殖の調査に今後の調査をする上でも非常に大きな手がかりが得られたということになります」

 シジュウカラガンは、戦前までは仙台市の水田などでも多く見られましたが、1910年代に日本政府が繁殖地の千島列島に毛皮を取るためキツネを放したため激減し、一時絶滅したと考えられていました。

 その後、わずかな数の生息が確認されたため、雁を保護する会などが40年ほど前から復活を目指して活動し、現在では1万羽近くが確認されています。