東京電力福島第一原発の処理水をめぐり、岸田総理大臣は24日にも海への放出を始めると表明しました。風評被害を恐れる漁業者は、今も反対の姿勢を崩していません。漁業者の不安は解消されておらず、溝を残したままの放出の決断となりました。
宮城県漁業協同組合寺沢春彦組合長「結果的に特に漁業者からすれば、理解醸成は進んでいないと我々は受け止めております。科学的な安全性に関しては理解は進んでいるということで話はさせていただきましたけど、放出自体を理解しているということではないので」
寺沢組合長は22日午後、報道各社の取材に応じました。
放出で懸念しているのは海外の反応です。実際に海外の輸出規制が強まると報じられて以降アワビの価格は下落していて、今後賠償を求める考えです。
宮城県漁業協同組合寺沢春彦組合長「(中国などとの)色々な駆け引きの道具に使われて結局困るのは生産者であり、そういったことがあってはならない。今後も国には約束した通り、しっかりとそこのところに対して全責任をもってやっていただきたい」
ホヤやホタテの養殖や輸出に取り組んできた宮城県石巻市寄磯浜の遠藤仁志さんは、今後の取引への影響を心配します。
養殖業遠藤仁志さん「24日っていうと木曜日ですかね。あまりにも急なのかな。「(輸出先の)香港サイドの方に連絡しなければいけないし。今入っている注文はどうなるのか」
政府や東京電力には風評被害の補償に加え、販路開拓への支援も求めたいと言います。 養殖業遠藤仁志さん「まずは流通を止めない。補償出ていても補償では皆さんどうしても食べていけないんですよ、はっきり言って補償だけでは。頑張って(売値が風評被害で)安くても、つくる」
遠藤さんは、新たな輸出先としてヨーロッパやベトナムの市場を開拓したいとしています。