宮城県が進める仙台医療圏の4病院再編構想について22日、県と仙台赤十字病院、県立がんセンターが統合についての基本合意を締結し、構想実現へ向け大きな一歩を踏み出しました。
名取市の県立精神医療センターを仙台市青葉区の東北労災病院と合築して富谷市に、名取市の県立がんセンターを仙台市太白区の仙台赤十字病院と統合し名取市に置くとする県の病院再編構想で、精神医療センターの移転をめぐっては、患者の意見を十分に聞いていないなどとして、仙台市は県に対し協議を一旦中止するよう求めています。
10月、仙台市の郡市長と村井知事は行政懇談会で意見を交わしましたが。
村井知事「病院が立ち行かなくなってしまった時に、建て替えするとか移転するとかいった時に、仙台市はそれに対してかなりの財源が必要になるんですけど、そういったことができるんですか?って聞いているんですよ」
郡仙台市長「大変申し訳ないんですけど、こういう議論をこういう場で…」
村井知事「こういう場でしないと駄目だと思いますよ。こういう話は。内々で話すんじゃなくて。それこそ逃げているといわれると思いますよ」
県立がんセンターと仙台赤十字病院の統合と移転をめぐっては、17日に初めての住民説明会が開かれ移転に反対する人たちから厳しい意見が相次ぎました。
村井知事「この度3者での基本合意を締結できたことは、県の政策医療にとって非常に大きな前進であったと考えております」
22日、県は仙台赤十字病院と県立がんセンターとの間で基本合意を締結しました。新たな病院は日本赤十字社が運営し、2028年年度中の開院を目指すと明らかにしました。
住民説明会からわずか5日後の基本合意に、郡市長は憤りを露わにしました。
郡仙台市長「県に真摯な対応を求めてきたがそれが一切無い中、先日の説明でも大きな不安や反対の声が上がる中で急遽このような基本合意の締結式ということで、はなはだ遺憾という印象」
22日の基本合意の締結式直後に、khbは村井知事に単独取材しました。病院再編にかける思いや、郡市長との関係など本音に直撃しました。
カメラの前でにこやかに笑う締結式直後の村井知事は、基本合意にこぎつけ安堵の表情を見せていました。
村井知事「やっとここまで参りまして、正直ほっとしたということですね。まだ精神医療センターと東北労災病院さんの方がですね、基本合意まで至っておりませんので、まずはそちらの基本合意を目指しながらですね、がんセンターと赤十字仙台にですね話を前に進めていきたいなと思っております」
残る県立精神医療センターと東北労災病院の合築についても、村井知事は年度内の基本合意を目指しています。
村井知事「逆に病院を、仙台医療圏の病院を長く持たせるための政策だということです。それがなかなか仙台市長には理解をしていただけないということなんですよ」
「私がやってることは、仙台市から病院出して仙台市民を困らせることにように見えてますけれども、永続的に仙台市の中で病床を残して、そして外に出したといってもすぐ近くですから」
一方の郡仙台市長です。宮城県が22日午後3時半に基本合意締結式を行うと発表したのは、22日午前11時でした。発表の30分前に郡市長はkhbのインタビューに応じ次のように答えていました。
郡市長「医療体制をどういうふうに構築していこうかということについては、全ていろんな情報を出した上で市民、県民の皆さんたちに丁寧に説明をしご納得をいただく形でまとめていくのが常だと思っています。そこが無いのはすごく残念です」
「県の責任において、やはりしっかりと説明できることはしていかなくちゃいけないんだと思っています。もちろん民間病院の機微に触れるところもおありなんだろうというふうに思いますが、それにしてもやはり説明責任というのがあるんじゃないかなと思っているところです」
郡市長は、khbのインタビューのためにフリップまで用意しました。仙台市から2つの病院が移転することへの強い危機感を語りました。
郡市長「仙台医療圏に占める仙台市の人口が7割です。そしてまた、高齢化率で病院への診療が必要な人たちの割合についても同じように推移していく中で、病床を減らしていくというようなお話があるとすれば、やはり仙台市民の命と健康を守っていくために大きな危機感を持たざるを得ない」
村井知事と郡市長、お互いについてどう思っているのかそれぞれ本音を聞いてみました。
「Q.郡さんを村井さんはどのように評価していますか」
村井知事「郡さんはものすごいやりやすい人ですよ、やっぱりあの方政治家なんですよね。役所の人じゃないんですよ政治家なので」
「私は非常に素敵な方だなと思ってます。温厚な方ですしね、人の話を聞いてくれると思います。人物として高く評価してます」
郡市長を政治家と語る村井知事。一方、郡市長の村井知事像は。
郡市長「とてもリーダーシップを発揮される方だと思ってますし、すごく明るい方ですし、今般全国知事会長に就任された時も、いの一番にお祝いのメッセージを送らせていただき、私がしょっちゅうメールや電話でもお話をする間柄ではあります」
良好な関係が構築されているとしながらも、こと今回の4病院問題については納得できないという郡市長。
郡市長「この構想を掲げた時にどういうふうに現状を把握され、これから将来に向けてどういう解決策を見越しておられたのか。そこについては甚だ申し訳ありませんけれども、情勢分析は十分ではなかったのではないかというふうに思います」