現行の健康保険証は12月2日で新規発行が停止され、原則としてマイナ保険証に一本化されます。医療情報が共有しやすくなると歓迎する声がある一方で、宮城県の医療関係者からは制度の周知が不十分で混乱が起きるといった懸念の声が消えません。

 現在、多くの人が利用しているいわゆる紙の保険証は12月2日に新規発行が停止されます。

 発行は停止されるもののすぐに使えなくなるわけではなく、加入している保険組合などで異なりますが最長で1年間使えます。

 マイナンバーカードを持っていない人や、マイナ保険証の利用登録をしていない人などには資格確認書が送付されます。

 国民健康保険を所管している仙台市では、該当する市民に資格確認書を郵送する予定です。

 仙台市保険年金課岡崎勝紀課長「新たに資格確認書を、申請することなく皆様に交付いたします。医療機関の窓口で提示することによって、これまでと同様に医療機関にかかることができると」

 政府はマイナ保険証への一本化を推し進めていますが、宮城県の医療関係者からは懸念の声が絶えません。

 医師や歯科医師、約10万人が所属する全国保険医団体連合会が8月に会員アンケートした結果、マイナ保険証を受け付けで読み込む際に名前が文字化けしたり資格情報が無効と表示されたりするなどのトラブルが7割の医療機関であったということです。

 現行の保険証については廃止に賛成は1割も無く「延期すべき」「残すべき」という回答が計9割を超えました。

 宮城県保険医協会横堀育子副理事長「急激に日にちを区切って保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化するという強引なやり方になると現場で混乱が起きてしまう。まずは保険証を残しつつ、ゆるやかに進めていただくのがいいのではないか

 宮城県亘理町の歯科医院、上原忍さんの医院ではマイナ保険証の利用者は、1日1人か2人に過ぎないと言います。

 上原忍院長「当院はマイナ保険証への移行)進まない。お年寄りが特に難しいようです。情報漏洩とか無くす心配をしていますね」

 この医院では以前、名前を読み込めない

トラブルがあったためマイナ保険証の利用者にも現行の保険証を持って来るよう呼び掛けています。

 上原院長はマイナ保険証のメリットも認めつつ、現行の保険証を使える時期を延ばすべきだと考えています。

 上原忍院長「現行の保険証については12月2日からではなく、半年後1年後でもいいので廃止を延ばしてほしい。それが現実かなと」