正月用の門松と言えば、先端を斜めに切った3本の竹があってその周りに松の葉や赤い実の南天が飾られているイメージです。

 仙台市の伝統的な仙台門松は、2本の木の柱を立てて松や笹竹をくくり付けます。木の間に笹竹を通して、中央にはケンダイと呼ばれるしめ飾りが付けられていて、高さは3メートルから4メートルほどで、大きな門のような形をしています。

 江戸時代の古文書には、現在の泉区根白石の農家から「門松用の資材が仙台城に献上された」という記録が残っていて、当時は仙台城やその付近の屋敷に飾られていたそうです。

 こうした門松は、仙台中心部で明治40年(1907年)ごろにほとんど姿を消してしまいます。

 仙台市博物館は、仙台門松を復活させようと15年ほど前から調査を開始し泉区根白石で昔ながらの門松を受け継いでいる方の協力を得て再現しました。

 2019年には、活動を知った伊達政宗の歴史的な遺産を未来へ継承する団体が仙台門松の復活に向けたプロジェクトを始動させました。

 プロの庭師でさえ知らなかったという門松でしたが、仙台市博物館の協力の下で講習会などを開催し、作り方が伝えられています。 プロジェクトの効果もあり、宮城県での仙台門松の設置数は1年目の4基から年々増え、2025年は28基が設置される予定です。

 最近は、観光客に仙台市の歴史に触れてもらおうと仙台門松を飾るホテルや商業施設もあるということで、今後の広がりに期待したいと思います。