アメリカのトランプ大統領はカナダとメキシコに25%の関税を、中国に10%の追加関税をかける大統領令に署名しました。3カ国はいずれも反発しています。

トランプ大統領のSNSから 「私たちは国民を守る必要があり、国民の安全確保が大統領としての責務だ」

 トランプ関税がついに始まります。CNNは「世界的な貿易戦争に発展する可能性がある号砲だ」と警鐘を鳴らしました。

 関税の引き上げは4日に実施します。関税を課す名目は、合成麻薬や不法移民の流入に対処するというものです。

 これに対し、カナダのトルドー首相は対抗措置に踏み切る構えを見せています。

カナダ トルドー首相 「ホワイトハウスの決定は両国を分断するもので、協力を促進するものではない」

 中国は追加関税について、断固として反対するとしてWTO(世界貿易機関)に提訴すると表明しました。

中国商務省 「アメリカの一方的なやり方はWTOのルールに違反している」

 メキシコのシェインバウム大統領も、報復関税を含む対抗措置を取ると表明しています。

 そのメキシコで取材すると聞かれるのが、不安と怒りの声です。なかでも大きな影響が出る可能性があるのが“アボカド”です。

 メキシコは世界最大のアボカド生産国で、その80%以上にあたる年間4兆円程度のアボカドをアメリカに輸出しています。

 アメリカではペースト状のアボカドをナチョスに付けるワカモレを食べながらのスポーツ観戦が人気で、地元メディアによりますと、去年、アメフトの決勝戦・スーパーボウルでは、日曜日一日だけで5400万個が消費されたといいます。また、アメリカ農務省によりますと、この時期のアボカド消費量は年間の20%にあたるそうです。

 関税が25%となれば、1兆円ほどを課せられる計算です。

アボカド店 店主 「価格が上昇するかもしれない。価格を調整しなければなりません」

 関税が引き上げられた分、価格を抑えようと小売業者などが負担を強いられるかもしれないというのです。

 また、日本など他の国への輸出に価格が転嫁される可能性もあると話します。

 メキシコへ展開する日本企業の支援などを行うJETROメキシコ事務所によりますと、すでに日本企業にも影響が表れているといいます。

JETROメキシコ 中島伸浩所長 「昨年の後半あたりから新規にメキシコに進出しようという企業は判断を留保するというか、トランプ大統領の通商政策が一通り出るまでは判断を遅らせるところはあるのかなと思います」

 経済産業省はJETROと共同で、企業からの相談を受け付ける専用窓口を新たに立ち上げました。