岩手県内で発生した山火事は、平成以降“国内最大規模”にまで拡大しています。乾燥に加え、強風注意報も発表される中、火の手は市街地へと近づいていて、鎮火のメドは立っていません。(3月1日OA「サタデーステーション」)
■“強風”岩手・山火事 避難指示拡大
そして、乾燥注意報が出続けているのは、岩手県大船渡市。
報告・仁科健吾アナウンサー(岩手・大船渡市 1日) 「午後7時過ぎです。日が沈んで炎が目視で確認できるようになりました。山を見てみますと火柱が立っているのが確認できます。激しく燃えています」
火の勢いは収まる様子が見えません。その瞬間が捉えられました。時折、火柱のように吹き上がる炎が今も確認できます。少し時間が経つと火の勢いは収まりを見せますが、またすぐに燃え上がりを見せます。大船渡市では、日中、強風注意報が発表されていました。
ひときわ、煙が立ちのぼっている場所があります。ここは、全域に避難指示が出ている綾里地区です。山火事による焼失面積は、およそ1400ヘクタールとなり、平成以降の山火事で国内最大規模となりました。消失エリアはどのようになっているのでしょうか。
報告・仁科健吾アナウンサー(岩手・大船渡市 1日) 「この辺りが焼失したエリアになっています。 木々の根元の部分を見てみますと黒くなっているのが分かります」
黒く細い幹だけになった樹木が何本も確認できます。山の上部には、葉っぱが残る木も。 現在の火災が発覚したのは、26日午後1時ごろ。連日、火の行方を捉えていた住民がいました。
連日 山火事を撮影している村上真さん 「大船渡の湾の入り口の方から 今燃えているあたりを映すように。最初は全然火が見えなくて煙だけ市内から見えていたんですけど、ちょうど木曜日のあたりから山のてっぺんのあたりが燃え始めて」
村上さんは、湾の入口あたりから対岸にカメラを向けていたそうです。2月27日の夜に撮影した写真では山の上部まで燃え盛っているのが確認できました。それが28日には、山の上部だけでなく、だんだんと人家のあるエリア側に降りてきているように見えます。そして、1日の朝は。
連日 山火事を撮影している村上真さん 「どんどん広がってきて自分の身内を避難させているという状態で日々不安になる」
■焼けたエリアの特徴は
燃えたエリアは、どんな場所だったのでしょうか。2週間ほど前に撮影された、綾里地区の映像では杉など、針葉樹が確認できます。大船渡市には、森歩きを楽しむトレイルコースが整備されていて、外国からもわざわざやってくる、知る人ぞ知るスポットだったそうです。今回の山火事でそのコースの一部が被害に遭ったと言います。観光ツアーを企画する志田さんは…
三陸ツアーズ 志田繕隆 代表 「本当にリアス海岸の地形の特徴とかも楽しめてちょっと神秘的で、旅行者にはとても人気のところだったので」
大船渡市の2月の降水量は2.5ミリと平年のわずか6%でした。これは2月の降水量として観測開始以降、最少です。乾燥注意報は、17日連続で発表されていて、鎮火のメドが立っていないと言います。
大船渡市の会見 「延焼拡大中です。山間部ですので地上から入れるものではありません。なので地上隊の活動にあっては、建物等への延焼防止に務めております」
優美な景色が見られる独特な地形によって地上から山林の消火活動が難しくなっていると言います。鎮火の妨げとなっている風。1日も大船渡市では時折強い風が吹き、瞬間的に18.2mを記録。避難指示エリアは、どんどん拡大していき、1日時点で1896世帯、4596人に避難指示が発令されています。
■引っ越したばかりの新居が“焼失の危機”
私たちは、火災が迫っている市街地へ向かいました。2月28日に避難してきたという森下さん。家族5人で親戚の家にやってきたそうです。
親戚の家に避難している森下 峻也さん 「まずは自分家が燃えないことを祈ってますね」
森下さんは、去年12月に新築の家に引越したばかりだったと言います。わずか3か月しか住んでいませんが、焼失の危機にさらされ、約3キロ離れた所に身を寄せています。
親戚の家に避難している森下 峻也さん 「(自宅から)煙も見えてましたね。匂いも昨日、一昨日から」
車には、あらかじめ避難の準備をしていたそうで、避難指示が発令されてすぐに動いたそうです。5人分の着替えは、このカゴ2つ分だけ。
親戚の家に避難している森下 峻也さん 「2日、1日分くらい。すぐ戻れると思っていたんで持ってこなかったですけど」
避難先の家の近くには、消火活動を行う自衛隊の拠点があり、毎日祈るように見守っていると言います。
森下 峻也さんの義母 「ヘリコプターが朝から通り手を合わせるよう 。助けてもらってるし (炎は)なるべくこっちにも来てもらいたくないからね。いっぱい働いて頑張ってくださいと」
いまだ収まらない火の勢い。大船渡だけではなく、全国でも山林火災が相次いでいます。
■長野・山梨でも…全国で相次ぐ山火事の延焼
先月28日、長野県上田市で発生した山林火災は1日から220人態勢で消化にあたっていますが鎮火のメドは立っていません。住民は不安な夜を過ごしていました。
火災現場周辺の住民 「全然眠れなかった、怖かった、夜中に何度も起きて外に出た」
山林からあがった煙は、住宅にすぐ傍まできているのが確認できます。一方、こちらは発生から4日目となった山梨県大月市の山火事は、今も延焼中です。 2日も関東甲信や東北は乾燥が続く見込みで注意が必要です。