シリーズでお伝えしている「311のいま」。津波で甚大な被害を受けた宮城の水産業。新たな販路の拡大に挑み続けています。

 宮城県石巻市桃浦地区。古くからカキ養殖を生業としています。

 津波で漁船のおよそ9割が被害を受けるなか、民間企業にも漁業権を与える「水産業復興特区」として再生に取り組んできました。

桃浦かき生産者合同会社 新田拓哉代表社員 「震災からのスタート、壊滅からのスタート。(それからも)色々ありました」

 原発事故を受け最大の輸出先だった中国は、宮城や福島など10都県の水産物の輸入を停止。14年間解禁されず今に至っています。

 そんななか、宮城の水産業者たちは、新たな販路として東南アジアへの輸出を増やしてきました。

 しかし、おととし、原発の処理水放出に伴い、禁輸の対象が日本全国に拡大。宮城以外の多くの業者も東南アジア市場に集まるようになりました。

新田拓哉代表社員 「輸出先の国を幅広く探しているのは、みんな思っている」

 そこで宮城県が新たに目を付けたのが、カキの生食文化があるメキシコです。

 今年1月。宮城県と仙台の卸売業者は、メキシコで現地の飲食業界のおよそ40人を前に桃浦地区のカキなどの試食会を開催。

参加者 「メキシコで食べるものと比べると、もっと味があってフレッシュな感じ」 「カキフライが一番レストランのメニューとして出せそうと感じた」

 帰国後に開かれた報告会では、早速メキシコから注文が入ったことが確認されました。

国分東北マーケティング部地域共創課 千葉智樹営業担当主任 「(生産者やメーカーから)今後も一緒に協力したいという言葉ももらった。安定して供給できるように取り組みたい」