宮城県にも桜の季節がやって来ましたが、仙台市青葉区の作並温泉ではかつての桜並木を復活させようと、地元住民や温泉旅館組合などが植樹をしました。
8日、約40人が集まり国道48号沿いに58本の桜の苗木を植えていきました。
かつてこの場所は春になると咲き誇る桜がトンネルのようになり、ドライバーを癒やす桜の並木道として親しまれてきました。
しかし、国道の拡張工事や木の老朽化に伴い2018年にはソメイヨシノ33本が伐採されました。
そこで2019年から地元住民などが中心となり、かつての光景を取り戻そうと桜の植樹プロジェクトが始まりました。これまでに100本以上が植樹されています。
ソメイヨシノよりも寿命が長いエドヒガンや、作並地区が発祥とされている希少な作並菊桜を植え、長く親しまれる名所を目指しています。
参加者「子どもが大きくなった時に一緒に植えたという思い出になればいいかなと思って。春になれば昔見た桜のトンネルのようなものができたり、にぎわいの場所になればいいなと思っています」
作並温泉郷千年桜プロジェクト小野寺裕史委員長「若い世代の皆さんに見てもらって観光地としても良い観光地になれるように、そんな思いでやっております」
苗木は毎年4月下旬ごろに花を咲かせながら成長し、10年ほどで成木になるということです。
宮城県の桜の名所、一目千本桜として長年親しまれている白石川沿いのソメイヨシノも守られています。
ソメイヨシノは寿命が60年から70年ほどで、桜の中では短命です。
3年前から一目千本桜の保全活動を続けている、樹木医の尾形政幸さんによると、白石川沿いの1200本のうち300本ほどが老木で、年に数本が伐採されています。
老木になると、リスクが高まるのが病気や害虫の被害です。
樹木医尾形政幸さん「キノコが表面だけではなく、中の方に菌糸がかなりびっしりとはびこっています。この中のはかなり腐っていることになります」
ソメイヨシノは病気や害虫に弱く、尾形さんは桜並木の景観を守ろうと地元の中高生と共に害虫の駆除や肥料の散布などの保全活動を行っています。
樹木医尾形政幸さん「何年もこのまま維持できたらなと思っています」
宮城県大河原町では、尾形さんが交配した病気や害虫に強い独自の品種おおがわら千年桜を開発するなどして、一目千本桜の存続に尽力しています。
こうした自治体の保全活動に加え、企業による支援も始まっています。
大手ビールメーカーのキリンビールが行っている、晴れ風ACTIONという取り組みです。
キリンビールの晴れ風というビールを買うと、その売り上げの一部が桜の保全活動を行っている自治体に寄付されるという仕組みです。
宮城県からは、一目千本桜の大河原町と船岡城址公園の柴田町が寄付先に選ばれていて、寄付されたお金は枝の剪定や病害虫の駆除、植樹などに活用されるということです。