宮城県気仙沼市は、毎年3月11日に開いてきた追悼式の代わりに、震災伝承と防災教育をメインテーマにしたシンポジウムを開きました。
気仙沼市が開いた追悼と防災のつどいには、市民ら約630人が出席し専門家らの意見に耳を傾けました。
会場では、津波工学が専門で東北大学災害科学国際研究所の今村文彦所長が講演し「災害が想定を上回り、3.11の教訓がそのまま適用できないこともある」「きちんと備えができているか、もう一度考えてほしい」と呼びかけました。
また、会場の中央公民館には献花台も設けられ、東日本大震災が発生した午後2時46分には黙とうを捧げるなどし犠牲者を悼みました。
菅原茂気仙沼市長「慰霊の意味も含めて防災のつどいということで、犠牲になられた方たちの死を無駄にしない。将来の世代に生かしていくんだということでつながっていると思っております」
気仙沼市では、10年が過ぎて一区切りを迎えたことから追悼に伝承を加えた形式に変更することを決めたということです。
市では、2023年以降の3月11日も同じ形式で催しを開催する予定で、追悼式は震災から5年ごとの節目の年に行うとしています。
2022年、県内沿岸部の市と町のうち、追悼式を行ったのは石巻市と東松島市だけで、献花台の設置に切り替えた自治体が目立ちました。
一方で、岩手や福島の沿岸部の自治体では2022年も「復興は成し遂げられていない」などとして、多くの自治体が追悼式を行っています。