満開を迎えた仙台の桜の話題です。宮城野区の住宅街であと数年で伐採される予定の一本桜が、見事に咲きました。

 宮城野区銀杏町の住宅街に立つ1本のソメイヨシノ。この日は近くで入学式があり、満開の木の下にたくさんの笑顔がありました。 「弟が入学して、成長したなって感じですね。桜がずっと毎年あって、きれいだなと思って(写真を撮った)」

 「もう幼稚園の時からここで写真を撮ってたので、入学式とか、日々の成長をここで撮ろうかなと思って」

 かつてこの場所は民家の庭でしたが、仙台市が2017年に取得しました。市道を片側1車線から3車線に広げる目的です。周辺は交通量が多いうえに線路のアンダーパスもあり渋滞が課題となっています。

 近所の男性「だいぶ(道は)混みますね。早く拡幅して欲しいとは思うんですけど、とはいえ、やっぱりこういうもの(桜)が無くなるってのも、ちょっと寂しい思いはしますよね」

 桜の持ち主だった佐藤和子さんです。桜は今から59年前、1963年に長女の幼稚園入園を記念して夫の直度さんが植えました。 佐藤和子さん「主人が(庭の)門を開けて(桜を見ないかと)勧誘するんですよね。おかしい(笑)。どうぞどうぞって(笑)」

 直度さんは5年ほど前に亡くなるまで、外から眺める人がいれば庭に招き入れ、夜になればライトアップをして自慢の桜を愛でてきました。

 半世紀以上にわたり、愛されてきたこの桜は伐採されることが決まっています。

 市には桜の保存を望む多くの声が寄せられましたが「移植には耐えられない」というのが樹木医の診断結果でした。

 現在、市とJRが線路周辺の工事計画について協議を進めていて、桜は数年後には伐採される予定です。

 佐藤和子さん「ギリギリまでは切らないで残しててもらいたいし、最後の最後に切ってもらいたい気持ちはありますよね。いつも(夫に)見せてます、また咲いたよって。青空に桜がそれこそ羽衣を着て、桜が羽衣を着てね昇っていくって感じがするんですよ」

 一本桜の向かいには、かつて仙台医療センターがありました。今は更地となっていますが、今後、県民会館とみやぎNPOプラザが移転集約されることになっていて、地域の景色はあと数年で大きく変わっていきそうです。