宮城県が5月10日に公表した新たな津波の浸水想定は、震災後に整備された産業用地にも影響を与えています。名取市では、企業誘致への影響を懸念しています。
名取市は震災の津波で被害を受け、災害危険区域となった閖上東地区の約20ヘクタールの土地を産業用地として整備し、企業を誘致しています。
これまでに、水産加工会社など38社が進出しました。
この地区は、3メートルから5メートル未満の浸水が想定されていましたが、今回の想定で5メートルから10メートル未満の浸水に変更されました。
この地区で2016年に工場を再建したマルタ水産です。震災を上回る浸水の深さに動揺を隠せません。
マルタ水産相澤太専務「それ(震災)以上の津波が来るということがあり得ると知って、大変ショックでした。我々は(津波が)来たら逃げるしかないのかなと、それに備えるだけかなと思います」
閖上東地区では、今も用地の4分の1ほどに当たる4.6ヘクタールが空いていて、名取市では浸水想定が変わったことで、進出を検討する企業の懸念材料になり得るとしています。
市では、今回の想定があくまで「命を守るための最悪の想定のもの」と企業側に説明し、引き続き誘致を進める考えです。
名取市防災安全課小松義晴課長「閖上地区ですと交通アクセスは大変便利。そういう利点を選んでいただければ、やはり企業としても進出していただけるものと思いますが、必要な所はとにかく整備をしていくという方向で考えています」