新型コロナのオミクロン株が世界的に流行するなか、原因不明の子どもの急性肝炎が各国で報告され、日本でも厚生労働省が調査を始めました。
明確な原因にはまだ分かっていませんが、これからの時期に増えるプール熱の原因となるアデノウイルスとの関連も指摘されていて、注意点などを専門家に詳しく聞きました。
厚生労働省によりますと、2021年10月から6月9日までの間に、従来のウイルス性肝炎の型に当てはまらない急性肝炎で入院した16歳以下の患者が47人報告されています。
子どもの消化器が専門の宮城県立こども病院の虻川大樹副院長は、急性肝炎の症例数について次のように話します。
虻川大樹副院長「8カ月間で47例というのは、決してすごくと増えているという印象は我々は受けていない。肝炎ウイルスというとAからEの5種類と言われるんですけれども、それ以外のウイルス感染でも小児では肝障害を起こすことがよくあるんですね」
イギリスでは年明け以降、原因不明の急性肝炎になった子どもの7割からアデノウイルスが検出されたとの報告があります。
アデノウイルスは感染性胃腸炎を引き起こすウイルスで、代表格がいわゆるプール熱で春から夏に流行します。
本来は、肝炎を引き起こしにくいウイルスと考えられてきました。
虻川大樹副院長「ウイルス感染を経験していない、免疫が備わっていない子どもたちに例えばアデノウイルスがイギリスで流行して、その反応が非常に強く起こってしまった、それで肝炎が起きたのではないか」
アデノウイルスの感染防止には、消毒用のアルコールは効果がありません。虻川副院長は他の感染症と同様に石鹸を使った手洗いの徹底を呼び掛けています。
虻川大樹副院長「これから人と人との接触が増えますし、マスクもだんだん増える機会が増えると思いますので、その中でいろんなウイルスがアデノも含めて増えていく可能性があると思います。これまでとは違う体の反応を示している結果が、子どもの肝炎なのではないかと考えています」
虻川大樹副院長によりますと、主な症状として発熱やだるさ、腹痛などで更に重くなると皮膚や目が黄色くなる黄疸の症状が出ます。
ウイルスにかかっても肝炎だけの症状が出ることは少なく、下痢や嘔吐といった胃腸炎の症状と併発するので、重症化を示す黄疸などの症状が出たら早めに専門の医療機関にかかってほしいと話していました。