芥川賞に仙台市の書店員、佐藤厚志さんの「荒地の家族」が選ばれました。仙台市はお祝いムードに包まれています。
芥川賞を受賞した佐藤厚志さんは仙台市出身の40歳で、東北学院大学文学部を卒業し仙台市青葉区の丸善仙台アエル店に勤務しながら小説を書いてきました。
芥川賞受賞佐藤厚志さん「地元がすごく盛り上がっていて騒いでいただいていたので、期待にこたえられるか結構プレッシャーで本当に良かった。みんな喜んでいると思う」
受賞した「荒地の家族」は、東日本大震災で仕事道具をすべて失い、その後、妻を病気で亡くした亘理町の造園業の男性が、元の生活を取り戻そうと奮闘する姿を描いた作品です。
芥川賞受賞佐藤厚志さん「(震災が)忘れられるということに、ささやかな抵抗になればいいなと思いますけど。なかなか本屋さんに来て震災がテーマの本に手を伸ばしづらいところがあると思うが、運よく受賞できてすごくうれしい」
19日午後7時。丸善仙台アエル店が入るビルのエントランスには、受賞を祝う広告が登場し写真に収める人の姿がありました。
「友達なんですよ」「おめでとうございます」「ありがとうございます」「前日ね、ネクタイプレゼントしたんで、僕があげたネクタイをして会見しますよ」
佐藤さんが会見で身に付けていた水玉のネクタイは、高校時代からの親友が贈ったものでした。
友人「小説家になる前から知っていたので、感動しちゃいます」「ここまで来るまでの苦労とか、思い悩んだりしているところをずっと見てきているので、積み上げてきた小さい努力をいっぱい積み重ねてここまで来たと思うんですけど、感無量というかすごいなというか感動の一言です」
受賞から一夜明け、丸善仙台アエル店では開店前から佐藤さんの特設コーナーの設置や受賞を祝うポスターを張る作業に追われていました。
午前10時の開店と同時に多くの客が訪れますが、受賞作「荒地(あれち)の家族」は19日のうちに売り切れていて、予約をする人も多くいました。
「受け付けで聞いて予約できるなら予約していこうかなと思ってね。やっぱりうれしいです。2、3日前から候補者としてテレビでも話していたからすごいなと思ってね」「お仕事しながらご自分の持ってらした才能というか、ご自分の思っていることを表現されるというのはとても素晴らしいことだと思うし、とてもうらやましいと思います」