多くの人でにぎわった、ゴールデンウイークの経済波及効果についてみていきます。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト
「まだ正確な数字は出せませんが、可能な範囲で試算しました。以前、ゴールデンウィークの観光消費推計額は170憶円程度と試算しましたが、実績は110憶円程度に落ち着きそうです。
当初の試算よりは下回りましたが、この額はコロナ前の2018年の112億円とほぼ同じ額で、コロナ前の水準に戻ったと言っても良いと思います。
ゴールデンウィークにどれだけの人が移動したかを見てみると、東北新幹線の利用状況は、コロナ前の2018年の約90%、高速道路の利用状況は2019年の75%と大きな回復が見られました」
ゴールデンウィークはほぼコロナ禍前に戻ったという推計でしたが、観光地はどうだったのでしょうか。関係者に手応えを聞きました。
日本三景の一つ、松島。名物の遊覧船乗り場には観光客で大行列ができました。
丸文松島汽船矢部善之さん「驚くぐらい人が来ていただきまして、道路も大渋滞になっていて申し訳ないぐらいの気持ちでいます」 蔵王の御釜にも、宮城県内外から多くの人が。
蔵王山頂レストハウス大山健太郎さん「前年に比べて(観光客は)2倍3倍。どんどん増えていく感じ」
観光の脚、仙台市のタクシー業者も大忙しだったようです。
日交タクシー営業部阿部吉昭さん「貸し切りに限らず、一般の利用も含めると(コロナ前の)約9割位のお客様がコロナ禍前のように使ってもらっている実感はあります。(今後も)本当に期待しております」
皆さんコロナ禍からの回復の兆しが見えていて、今後も期待できるとかなり手応えを感じていました。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト
「4年ぶりに制限無しのゴールデンウイークで、旺盛な消費意欲が行動につながった結果と考えられます。ただ、一つ気になったのは宿泊者数です。2018年の約85%とこちらもV字回復したんですが、想定よりも伸び悩みました。1泊当たりの単価が大きいため、消費額全体に影響を及ぼした。
恐らく、人手不足が大きく影響したと考えられます。人手が足りず、予約を受け入れきれなかったという旅館も中にはあったかもしれません。
旅館、交通、土産物店など観光業は地元資本の企業が多いため、観光需要の増減は宮城県経済に与える影響が大きくなります。増えれば大きな恩恵を与え、減れば打撃を与えるという特性がありますね。
観光業は、コロナ禍の落ち込みで不安定な業種というイメージがついてしまった部分もあるので、人手不足の解決には、賃上げなどの手段も必要かもしれません」