約1400人が亡くなった仙台空襲からまもなく78年です。戦争の恐ろしさと平和の尊さを手作りの紙芝居で語り継ぐ80歳の女性に聞きました。
仙台市戦災復興祈念館で7日から始まった戦災復興展で紙芝居を読んでいるのは、宮城県富谷市の百束たき子さん(80)です。
老人ホームや子ども会などで読み聞かせを行っていて、15年ほど前からオリジナルの紙芝居制作を始めました。
秋保電鉄など地域にまつわる物語を作り上げる中で、学童疎開など戦争にまつわる題材にも取り組んできました。
百束たき子さん「自分も父親が戦争で亡くなっているので、この機会に戦争というものはどういうものなのかしっかり向き合ってみたいなと思って書いてみました」
戦時中、軍事物資を運ぶ船の船長を務めていた百束さんの父親は、戦争で百束さんが幼いころに亡くなりました。
百束さんは紙芝居を作る際に必ず現地に足を運び、当時を知る人から聞き取った話を元に物語をふくらませます。
この作品は、仙台空襲で母親と妹を亡くした主人公の信二が、七夕の日に二度と戦争が起きないよう平和を願う物語です。
百束たき子さん「戦争は人災なので食い止めようと思えば人間同士知恵を出し合って止められるものだと思いますので、戦争の無い世の中にしていかなければだめなんじゃないかなと思います」
7日の上演には、地元の小学生も訪れました。
「人が黒く焼け嫌な臭いが漂う道を、信二はつまずきながら急いだ。ああ、姉ちゃんは生きているだろうか、姉ちゃんから離れなければよかった」
百束さんの迫真の語り口に、子どもたちも引き込まれていました。
「世界中の人々が温かい心を持ち、決して『あ』を取ることがありませんように」
戦いの心ではなく、温かい心で互いを思い合って生きてほしい。平和への祈りを込めて物語は終わりました。
小学生「体験したことは無かったけど、心の中で悲しみが伝わってくるようなものだと思いました。それで戦争というのはもう起こしちゃいけないものなんだなということが分かりました」
百束たき子さん「皆さん熱心にご覧なってくださったので、良かったなと思ってます。時々思い出していただいて、生き方を考えていただければいいかなと思います」