能登半島地震では住宅の倒壊が相次ぎました。その要因として指摘されているのが耐震化率の低さです。宮城県の住宅では、どの程度耐震化が進んでいるのでしょうか。

 能登半島地震では11日午後2時現在、石川県で住宅1918軒が全半壊などの被害を受け、建物の下敷きになるなどして死者は213人に上っています。

 耐震工学を専門とする東北大学の五十子幸樹教授は、被害が拡大した要因について住宅の耐震化率の低さを挙げます。

 東北大学災害科学国際研究所五十子幸樹教授「倒壊した住宅を見ると、多くが屋根は土ぶきの瓦屋根になっていて重い屋根になっているし、恐らく新耐震設計以前の古い住宅ではないかと思います。耐震化されているかされていないかというところで、かなり明暗が分かれているという印象を受けています」

 国は、建物の倒壊が相次いだ1978年の宮城県沖地震を契機に、住宅の耐震基準を震度7程度の揺れで倒壊しないレベルに引き上げていて、耐震化率を2030年までにおおむね100%にすることを目標にしています。

 しかし、被害が大きかった石川県珠洲市では2018年度末で耐震化率が51%と半分ほどにとどまっていました。

 宮城県によりますと、住宅の耐震化率は宮城県全体で92%と全国平均を5ポイント上回っています。

 しかし、地域ごとに見ると仙台市が95%と最も高い一方、最も低い七ヶ宿町では30%と大きな差があります。

 東北大学災害科学国際研究所五十子幸樹教授「高齢化している地域は、耐震化率が低くなっているケースが多いと思います。住宅の耐震化にかけるコスト、その住宅あと何年使うのかといった費用対効果であるとか、過去の地震で大丈夫だったから大丈夫だろうということになっている場合もあるかと思うんですけども」

 文部科学省によりますと、30年以内に宮城県沖で地震が起きる確率はおおむね、マグニチュード8以上が20パーセント、マグニチュード7以上は90パーセントに上っています。

 宮城県の各自治体では住宅の耐震化を進めるため、国と県の補助と合わせて改修にかかる費用を最大100万円助成する補助金を設けていて、利用を呼び掛けています。

 県建築宅地課高橋亘課長「東日本大震災に耐えたからといって、次の地震に耐えられるとは限りません。ご自身とご家族の命を守るために耐震診断や耐震改修工事を行い、住宅の安全を確保していただきたいと思っています」