「知事からの指示です」。兵庫県の斎藤知事を巡る百条委員会で側近が新たな証言です。

 兵庫県・斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する県議会の百条委員会が5日も開かれました。

 話し合われたのは公益通報者保護制度について。

上智大学 奥山俊宏教授 「内部告発した人は大抵あることないこと織り交ぜて誇張された人格攻撃にさらされる。内部告発した人の評判を落とし、信用をおとしめて内部告発の信憑(しんぴょう)性を低めようとする狙いがあっての意図的な攻撃です。県の行政府のトップである権力者である人が公の場で部下の一個人に対して、いわば公開ハラスメントに及ぶということは許されません」

 公益通報制度に詳しい上智大学の奥山教授が指摘したのは、斎藤知事のこの発言についてです。

兵庫県 斎藤元彦知事 「業務時間中なのに嘘八百含めて文書作って流すという行為は公務員として失格ですので」

上智大学 奥山俊宏教授 「私は斎藤知事の振る舞いを見て、やはりいつものパターンだなと感じております」

 そして、知事を告発した元西播磨県民局長が懲戒処分されたことについては…。

上智大学 奥山俊宏教授 「あの告発文書には法的に保護されるべき公益通報が含まれているということが今や明らかになってきていると思われるので、私は知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると思います」

 元局長は3月に告発文書を報道機関や議員に送付。翌4月に公益通報制度に基づき、県にも疑惑を通報しています。

 ところが、その公益通報の調査結果を待たずに県は元局長に停職3カ月の懲戒処分を下します。

兵庫県総務部 井筒職員局長 「(Q.公益通報の結果を待って処分する手法もあったが?)公益通報と我々の懲戒処分の調査は全く趣旨、目的が異なります」

 当時、複数の職員が処分は待った方がいいと知事に進言したものの、知事は「調査結果を待たずに処分できないか」と人事当局に問い合わせていたといいます。

 5日の百条委員会では、懲戒処分に関与したとされる知事の側近2人の出頭を求めていました。

 ところが、そのうちの1人は…。

百条委員会 奥谷謙一委員長 「本日は証人として総務部付け井ノ本知明氏の出頭を求めていたが9月4日議長宛て安全面への懸念及び心身の不調のため出頭できないとの申し出があり、議長より委員長に通知がありました」

 心身面の不調が回復せず、殺害予告も受けているなどとして欠席しました。

 内部告発があった当初、県が取った行動は文書の作成者を探し出すことです。

兵庫県産業労働部 原田剛治部長 「知事からは出所とか事実確認を調査しようということは言われたと思う」 百条委員会 奥谷謙一委員長 「事実確認というのは何の事実確認」 兵庫県産業労働部 原田剛治部長 「内容のです。文書の内容の」 百条委員会 奥谷謙一委員長 「客観的に見て全く調査されていない。文書の内容の調査。文書の作成者を探そうということになったんでしょ」 兵庫県産業労働部 原田剛治部長 「まぁそうです」 百条委員会 奥谷謙一委員長 「知事からの指示なんですね」 兵庫県産業労働部 原田剛治部長 「トータルとしてはそうです」 百条委員会 奥谷謙一委員長 「文書の作成者の犯人捜しをした」 兵庫県産業労働部 原田剛治部長 「まぁそうです」 百条委員会 奥谷謙一委員長 「そうなんですか?」 兵庫県産業労働部 原田剛治部長 「犯人というか、出所なり書いた人を探そうというのは事実です」

 原田産業労働部長は県内の会社からコーヒーメーカーを受け取ったと認めています。