宮城県気仙沼市でNTT東日本とグループ会社が、ICT=情報通信技術を使ったサーモンなどの陸上養殖を始めます。

 6日、関係者が出席して連携協定書に調印が行われました。

 陸上養殖のプラントは敷地面積が8710平方メートルで、豊富な地下水を使ってトラウトサーモンとギンザケを年間計570トン程度生産する予定です。

 協定では、陸上養殖にICTを活用するだけではなく一次産業のデジタル化や雇用、ふるさと納税の返礼品に魚を出品することなどで協力していくことが盛り込まれています。 菅原気仙沼市長「気仙沼市として遅れていた魚類養殖が始まる。その中でもより確実で、将来性が見込まれる陸上養殖が始まるという事が大変大きい」

 NTTグリーン&フード久住嘉和社長「気仙沼市はギンザケがかつてはすごく取れていたが、環境問題でなかなか取れなくなっているので、テクノロジーの力で生産して、もう一度ブランドを復活させたい」

 陸上養殖のプラントは5月から工事が始まり、2026年3月の操業開始を目指しています。

 ここ数年、陸上養殖に異業種の様々な企業が参入しています。

 2024年7月、JR四国が収益拡大を目指しサーモンの陸上養殖に参入すると発表しました。九州電力も福岡県の火力発電所でサーモンの陸上養殖を始めています。

 陸上養殖に詳しい岡山理科大学の山本俊政准教授は、20年ほど前から陸上養殖に参入する企業が増えていると話します。

 山本俊政准教授「日本で有名なNTT、JR、電力会社など大手企業が陸上養殖に参入してきている。ここが一番大きな特徴の1つ」

 背景の1つが、温暖化によるサケの不漁です。

 山本俊政准教授「秋サケが北海道中心に前シーズンどん底だったのが、さらに底の底をいっている。過去最低の記録になりそうになっています。色々な魚介類が取れないという現象がずっと続いている。これは回復しないんですね今のところ。というようなことが、陸上養殖の背景にある。決定打は、陸上養殖は漁業権がいりません。場所を選ばない」

 山本准教授は、世界的にサーモンの需要は高いため、今後も陸上養殖に参入する企業は増えるとみています。

 山本俊政准教授「水温も上昇という側面もあるので、やはり人間が自ら魚をつくっていくという取り組みが必要だと思う。そのタイミング、時期が来ている」