埼玉県八潮市の道路陥没事故。救助活動を阻害している「下水管の水」ですが、具体的にどうすれば水位を下げることができるのか。専門家に聞きました。

■「水位」「スピード」が障壁に

 八潮市の道路が陥没して10日目。

 現場を視察して復旧にあたる専門家は、救助を妨げているのは「水位」だけではないといいます。

埼玉県 復旧工法検討委員会 森田弘昭委員長 「大量の水と、そのスピードですね。流速は(毎秒)1メートルから2メートルくらいはある。人間の力であらがえる流速ではない」

■救助活動を阻む“下水管の水流”

 救助活動を妨げているのが秒速2メートル近い下水道管の水の流れです。

 水の流れを人工的に発生させた実験。秒速1.5メートル、60センチの水位の中を歩くと、救助作業を行うのは難しそうです。

 下水道管の水の流れが速いのには理由があります。

 下水道管は処理場に向かって少しずつ傾斜が付いています。処理場に近い陥没現場は水の流れがより速くなるのです。

 埼玉県は水位を下げるため、この下水道を利用する12の市と町に節水を呼び掛けています。

 草加市の高齢者施設は週に2度だった風呂を体を拭いて1度に。利用者の洗濯物は、まとめて洗うようにしました。

湖山医療福祉グループ 草加福祉会 埼玉事業部次長 浅井佐知子さん 「やれることも限られてはおりますが、要請があった場合はそれに準じて協力することは可能」

 今後、救助活動を行うためにはどうすればいいのでしょうか…。

埼玉県 復旧工法検討委員会 森田弘昭委員長 「もう緊急事態なので『1日だけ我慢して下さい』と言って24時間水を止めるとか、大型の排水ポンプ車で川に下水を放流の組み合わせだと思う」

 現在は160センチある下水道管の水位を20センチにまで下げ、水の流れも大きく抑えることができれば救助活動が可能になるということです。