高額な医療費の患者の自己負担を抑える制度の見直しについて、がん患者団体などから反対の声が上がっています。

 国会では、上限引き上げの撤回を求める野党側の反発が続いています。

共産党 田村貴昭議員 「上限額の引き上げを知って、この瞬間も今、瞬間もがん患者さんは不安にさいなまれ、そして治療と健康に悪影響を与えている。上限額の引き上げ、絶対あってはならないと」

石破総理大臣 「あらゆる可能性はございます。しかしながら今、厚労省として遅きに失しないようにしたと言われないように、ご意見を聞いて、そのうえで適切な判断を致します」

 石破総理はあらゆる可能性を強調。上限引き上げについて修正を示唆しました。

 そもそも高額療養費制度とは、病気やけがなどで高額な医療費が生じた場合、自己負担額に上限を設けて患者の負担を軽くするというもの。

 上限は患者の年齢や年収に応じて決められ、1カ月あたりの医療費が上限を超えた分が後から払い戻される仕組みです。

 検討が始まったのは去年11月。背景には高齢化と医療費の増大がありました。

福岡厚労大臣 「高齢化の進展だったり、また医療の高度化等により高額療養費の総額が年々、増加しているなかで、高額療養費の役割については維持しながら負担能力に応じた負担を求める」

 そして、今年8月からの段階的な上限引き上げを決めてしまったのです。

 石破総理は厚生労働省に対し、患者団体との意見交換を指示。福岡厚労大臣が近く面会する意向を明らかにしましたが、年々、膨れ上がる医療費のなか、この問題はどのような決着が適切なのか…。

全国がん患者団体連合会 天野慎介理事長 「(上限引き上げで)多くの人が自分の人生を終わらせる決断を迫られることになるということをどうかご理解下さい。こういった多数のコメントいただいています。このまま引き上げが行われれば、特に長期にわたって(治療の)継続を受けている患者さんと、そのご家族は大変なことになります」