13日に発表された日産とホンダの統合に向けた協議打ち切り。聞こえてきたのはすれ違う双方の言い分でした。
■ホンダ・日産“破談”の背景は
ホンダ 三部敏宏社長 「経営統合に関する協議、検討を終了することに両社で合意し、本日、両社取締役会での決議をもって正式に決定を致しました」
協議を始めてから、わずかひと月半。販売台数で世界3位の自動車グループとなるはずだった自動車業界の大型再編構想は、なぜ夢と消えたのでしょうか。
去年の12月下旬、本格的な協議を始めたホンダと日産。当初は共同で持ち株会社を設立したうえで、両社を傘下に収める形での経営統合を目指していました。
日産自動車 内田誠社長 「どちらが上、どちらが下ではなく、ともに未来を切り開く仲間として」
日産の内田社長がそう話すと、ホンダの三部社長も…。
ホンダ 三部敏宏社長 「どちらが上、どちらが下ではないと(内田社長が)話していたが、日産とホンダが自立した2社として成り立たなければ経営統合の検討は成就することはない」
■急転…ホンダなぜ子会社化を打診?
ところが先月中旬、事態が急変。突然、ホンダが日産の株式を取得して子会社化する案を打診したのです。どちらが上、どちらが下ではないと対等な関係での統合を想定していた日産に衝撃が走ります。
テレビ朝日経済部 北村莉子記者 「ホンダは人員削減など日産の経営再建策が『具体的じゃない』『スピードが遅い』と不満を持っていたとみられます。あるホンダの幹部は、持ち株会社ではなく色々な選択肢があるなかで『子会社化が最適だと思った』と話していました。一方で、日産は『子会社化はありえない』と反発の声が強かった印象です。ある日産社員は、すぐ断ったことに『日産のプライドが垣間見えた』。ただ、『人員削減という大変なことを1カ月で決めきれるわけがない』と話していました。また、日産が受け入れられないことをホンダが提案してきたことに対して『これはホンダが協議をやめたいんだろうなと感じた』と話している社員もいました」
日産の関係者は、こう話しています。
日産関係者 「ホンダの下(子会社)になった場合、日産ブランドを守ってくれるのかという不安感はある。ホンダとして『日産と組みたい』という思いがあるはずで、子会社化という提案のやり方はうまくないと思う。強気になっているけれど、交渉が下手だ」
ホンダ 三部敏宏社長 「もし厳しい判断が迫られる局面に対峙(たいじ)した時、ホンダ、日産双方の代表者で構成されるボード(取締役会)では議論に時間を要し、判断のスピードが鈍る可能性が否定できないことから、共同持ち株会社の設立ではなく、ワンガバナンス体制というものが必要だろうということで、ホンダから提案したということです」
破談という結末を迎えたホンダと日産自動車。今後、特に業績が悪化している日産は、経営立て直しが差し迫った課題となります。
テレビ朝日経済部 北村莉子記者 「去年12月に協議を始めた時に、両社は中国など新興メーカーが台頭しているなかで1社だけでは戦えないと危機感をあらわにしていました。特に日産は1社だけで自立再建するのは難しい現状にあることは変わりません。台湾メーカーのホンハイは『日産にも協力していきたい』と話しているので、海外メーカーも含めて今後、協力を模索していくことになると思う」
日産も今月13日午後から決算発表会見を開いていて、今回の経緯などについて説明するとみられます。