運営会社の不適切な取引で、宮城県の塩釜市魚市場が22日から1カ月間使用停止となります。仕入れた魚を販売する塩釜水産物仲卸市場は、売り上げ減少が予想されることから店舗の賃料の一部減免を決めました。

 塩釜市魚市場を運営するみなと塩釜魚市場はマグロなどの水揚げ代金の一部、約1億4500万円を架空の会社を通じて漁船側に現金で支払い虚偽の報告をして施設使用料約80万円を免れていました。このため塩釜市は22日から1カ月間、みなと塩釜魚市場に対し塩釜市魚市場の使用許可を停止する行政処分を決定しました。

 使用停止中は水揚げされた魚を石巻市魚市場に卸すほか、漁業者と買受人が直接交渉する相対取引を行うなどの対策が取られます。

 生鮮メバチマグロの水揚げ量で日本一を誇る塩釜港は、特に品質の良い物を三陸塩釜ひがしものとしてブランド化するなど、地元水産業にとってマグロは特別な存在です。

 魚市場の近くにある観光客にも人気の塩釜水産物仲卸市場は、出店する78店舗の3分の1に当たる23店舗がマグロの専門店で、魚市場の使用停止に頭を悩ませています。

 塩釜水産物仲卸市場大江玲司専務理事「塩釜と言えばマグロと言われるくらい皆さんに認知されている街。ツアーのキャンセルも実際出てしまっていますので、かなり影響は大きいと感じております」

 魚市場の使用停止中、仲卸市場は他の魚市場から魚を仕入れ通常通り営業しますが、ブランドである塩釜産のマグロの水揚げが無くなることの影響は大きいといいます。

 魚市場と混同され仲卸市場が営業していないと誤解している客もいて、今後の影響がどこまで広がるか見通せない部分もあります。

 塩釜水産物仲卸市場大江玲司専務理事「一緒に塩釜を盛り上げていく立場として、きちんと襟を正して今後は塩釜の水産業をクリーンに盛り上げてほしいなという気持ちはございますね」

 21日に仲卸市場は理事会を開催し、今後の対応について協議しました。売り上げの減少が予想されることから店舗から賃料として毎月徴収している組合費を、この1カ月間、は部減免することを決めたということです。

 塩釜水産物仲卸市場坂本和正理事長「我々組合としても協力できることとして。気持ちですけどね。塩釜産と言えない魚を並べることになってしまいますけども、間違いの無い魚を扱います。多少不便は掛けさせますが、皆さんにもっと喜んでいただけるようなままで行けるんじゃないかと思っています」

 塩釜水産物仲卸市場は、風評被害対策の意味も込め22日からの3連休にイベントを開催します。

 塩釜市の寿司店からも風評被害を心配する声が上がっています。

 68年の歴史を持つ老舗、すし哲の白幡泰三さんは、実際の影響は限定的だと話します。

 すし哲白幡泰三代表取締役「塩釜(魚市場)自体が私に言わせればマグロに特化しすぎているから、マグロが揚がらないだけだよねっていう感覚なんです」

 塩釜で取り引きされるのは、ほとんどがマグロで他の魚は普段から他の市場で仕入れていて影響は少ないため、塩釜に魚が無いという誤った印象を持たれることを最も心配しています。

 すし哲白幡泰三代表取締役「あらゆる魚がストップになるというイメージを持たれるのではないかと思うんです。その風評被害が一番怖いです。近海ものは周りの港からきちっとした形で毎日供給されるようになっています。だから安心してご利用ください」