22日は、本州で今年初の夏日となるなど、一気に初夏の陽気となりました。この暖かさで期待されるのが、桜の開花ですが、今年も予想が難しいようです。(3月22日OA「サタデーステーション」)

■桜前線加速で開花ラッシュへ

報告・仁科健吾アナウンサー 「上野公園の入口の桜、きれいに咲いてます。その姿を見ようと多くの方が訪れています」

22日、桜の名所・上野恩賜公園の入口にある早咲きの桜は、きれいに咲き誇っていました。

千葉からきた家族 Q今日の天気は? 「きもちいい」「気持ちくない!暑い!」

5月並みの暖かさとなった東京都内の最高気温は24.4℃。全国でも、およそ半数の地点で20℃を超え、その中で25℃以上の「夏日」となったのは、18地点にのぼります。三重県尾鷲市では、最高気温25.6℃を観測。本州で今年初めての夏日に。

キャンプに来た人 「昨日と打って変わって、いきなり冬から春ですね」

■都内各所で早くも桜インバウンド

報告・松本茉子ディレクター 「海外からの人たちで賑わっていますね」

上野恩賜公園では、この陽気も相まって多くの外国人観光客の姿がありました。

アメリカからの観光客 「日本の桜はピンクもあってすごくきれいです」 ドイツからの観光客 「この時期に来れてワクワクしました。きれいです」

日本が大好きで仲良くなったという4人組の外国人観光客。日本観光の中でも桜は特別だといいます。

カナダからの観光客 「去年から計画していて、(SNSで)桜を見たユーザーの場所を調べて、(桜を)紹介しているサイトを調べました。バンクーバーの桜は日本から送られたものなので、どうしても日本の桜を見たかったんです」

さらに、楽しみにしていたというのが「さくらたい焼き」と「いちご大福」でした。

アメリカからの観光客 「日本が本当に大好きです!ハッピー!」

今年のお花見の経済効果はおよそ1兆4000億円という試算も出ていて(関西大学・宮本勝浩名誉教授による)、その4分の1は外国人観光客によるものだといいます。

■開花予想に翻弄され桜ツーリズムは日程変更も

一方で気がかりなのが、ソメイヨシノの開花時期です。去年は記録的な暖冬の影響で、民間企業による開花予想が12日ずれるなどしたため、桜のイベントで急な日程変更が相次ぎました。そのため、今回サタデーステーションが取材した都内の“桜の名所”3カ所では、今年から大胆な変更を余儀なくされていました。

報告・矢谷一樹ディレクター 「午前11時です。お客さんが次々と乗船していきます」

22日、賑わいをみせていたのは、例年2万人が利用するという、目黒川のお花見クルーズです。今年は例年よりも運航期間をおよそ2週間延ばし、スタッフも去年の20人から今年は30人に増やしました。

ジール目黒川お花見クルーズ 米澤知紗さん  「去年の教訓を得て、桜がいつ咲いてもいいような体制で整えておこうと」

このお花見クルーズは天王洲から出航し、70分かけて、およそ800本の桜を観賞することができる、往復8キロのコース。

ツアーガイド 「両側、早速木が見えてきましたね。全然咲いてないソメイヨシノ…」

福島からのツアー客 Qいつ予約した? 「2月のはじめ。満開かなと思ってきたんですけど残念ですよね」

千葉からのツアー客 「心の中の桜は満開だったんで…」

おととしは3月24日の時点で満開の桜を楽しむことができました。しかし、去年は3月30日の時点でもほとんど咲いていない状態。今年も一抹の不安を感じてしまいますが…

ジール目黒川お花見クルーズ 米澤知紗さん 「開花が進めば、目黒川は満開になると「桜街道」といって、すごくきれいな状態になるので、期待はかなりしています」

■「さくらまつり」の開催期間を3倍以上に

日本有数の桜の名所、千鳥ケ淵の周辺では、毎年およそ100万人が訪れるという、さくらまつりも始まっています。しかし、22日は…

報告・富樫知之ディレクター 「桜咲いていないですね。見える景色すべて枝ですね」

このまつり、例年は12日間の開催でしたが、今年から、なんと43日間に拡大しました。

千代田区観光協会 池田志穂 専務理事 「昨年の春、なかなか桜が咲かなくて、ライトアップに非常に苦労しまして、もう少し柔軟にライトアップの期間を設定できないかなと」

まつりの期間を長めに設定し、ライトアップする12日間の日程だけは桜に合わせて決める、という二段構えに。一方で…

さくらサイクルツアーガイド 鈴木優子さん 「きょう、ご紹介するのは、一番早く咲くと言われている早咲きのカンヒザクラ」

さくらまつりの期間中に開催される自転車ツアーでは苦労が絶えません。

さくらサイクルツアーガイド 鈴木優子さん 「シュゼンジカンザクラ、ちょっと逆に見頃を過ぎてしまっております。葉っぱも出てきて…」 「これ、桜、ソメイヨシノです。でもこれ全然咲いてないでしょ?」

やはり、ツアーの目玉はソメイヨシノ。21日の参加者は、まさかのゼロでした。

さくらサイクルツアーガイド 鈴木優子さん 「3月下旬から4月上旬の予約は埋まり始めましたが、桜に翻弄されています」

■2年連続で日程変更 しだれ桜の名所の誤算

報告・仁科健吾アナウンサー 「六義園のしだれ桜はきれいに咲き誇っています。ライトアップが幻想的です」

22日から、都内の六義園で始まったライトアップイベントは、2年連続で変更を余儀なくされました。去年は3カ月前に開催期間を決めたため、しだれ桜の見頃とずれてしまい、3日間の追加開催となりました。そこで今年は、ギリギリまで待って9日前に開催期間を決定。しかし…

六義園サービスセンター 小林千絵子さん 「当初7日間の予定だったのが、急きょ9日間に開催期間を延ばしております」 Qなぜですか? 「今の時点で、もうちょっと咲いているはずだったっていう…」

去年に引き続き、ポスターの日付に修正を加える事態となりました。

■地球温暖化で開花予想がより難しく?

地球温暖化の影響とみられる極端な気候で、桜の開花予想はより難しくなっているといいます。

テレビ朝日ウェザーセンター 森口哲夫象予報士 「(開花予想は)過去のデータに基づいて出されているが、近年は過去に例のないほど大きな寒暖差になることが多く、予報が難しくなってきています」

今週、東京では、水曜日に1センチの雪が積もったかと思えば、土曜日には20℃を超えました。今月上旬にも、最高気温22℃を記録した2日後に雪が降り積もるなど、今年は特に寒暖差が激しくなっています。

テレビ朝日ウェザーセンター 森口哲夫象予報士 「簡易的な開花予想の手段として『600℃の法則』がある。ただ、こちらも近年の寒暖差の影響で通用しにくくなっていると思う」

「600℃の法則」とは、2月からの、毎日の最高気温を足し合わせていき、600℃を超えた日あたりで桜が開花するという簡易的な予想手法。例年、実際の開花日との誤差は3日以内におさまることが多かったものの、去年は11日もずれがありました。今年も20日の時点で600℃に達しましたが、まだ開花していません。

テレビ朝日ウェザーセンター 森口哲夫象予報士 「来週は暖かさを通り越して暑いくらいの陽気になりそうです。この気温で桜の開花も一気に進んで、開花から満開までが早いと思います。ただ、お花見のピークとなる月末から4月初めに寒の戻りが予想されているので、寒くなってしまうかもしれません」