4月19日は語呂合わせで、しいく(飼育)の日です。仙台うみの杜水族館の新人飼育員の奮闘をご紹介します。
7月に10周年を迎える仙台うみの杜水族館は、約300種5万もの生き物を飼育展示しています。この春、新たに3人の飼育員が加わりました。
「海の楽しさを伝えたい」
仙台うみの杜水族館に、この春にお目見えした動物たちです。
アフリカ南部に生息するケープペンギンです。この春、赤ちゃんが4羽誕生しました。1月末に生まれたひなは、大人と同じくらいの大きさまで育ち羽も生え変わり始めています。この日は泳ぎ始めたばかりの時で、水の中で気持ちよさそうに浮かんでいました。
生まれてから2カ月のひなは、もふもふの羽毛に包まれまだ巣の中からは出て来ることができませんません。
3月中旬に横浜市の八景島シーパラダイスからやってきた、4頭のコツメカワウソです。早くも水族館の人気者になり、展示場で仲良く寝そべったり一緒に歩き回ったりと、愛くるしい姿を見せています。
4頭は血のつながった家族で、お母さんと長女それに双子の雌です。どれがお母さんかは分かりませんが、かわいい姿を見せてくれます。
更に、入口近くのエントランスではアフリカワシミミズクのチョウジくんが出迎えてくれます。3月末からの水族館の新しい企画で、運が良ければ会えるということです。
仙台うみの杜水族館では、この春3人の新人飼育員が加わりました。
アザラシやペンギンなどの動物たちを担当する海獣ふれあいチームの栁澤陽音さんは、入社2週間で掃除と餌作りが主な仕事です。長い時には作業が4時間半も続きます。同じ種類の生き物でも、体重や好みで量や配分が変わります。食べやすいサイズにもカットしなければいけません。
栁澤陽音さん「凍っている魚とか切れなくて、頑張って力入れて切ってました。手が痛くなりました。でも、今も切るの遅くて。練習中です。頑張ってます」
幼い頃から水族館が大好きで、小学生の時には飼育員を目指していた柳澤さんは、専門学校を卒業して仙台うみの杜水族館に入りました。
栁澤陽音さん「言葉が分からない動物とコミュニケーションを取って、お客様を笑顔にしている姿を見て私もこうなりたいなあって」
魚や爬虫類など水族館の約9割の生き物を担当しているのが魚類チームです。仙台市出身の新人、阿部咲萌さんがこの日に担当するのは水族館の目玉、スパークリング・オブ・ライフです。大水槽の約2万5000匹のイワシが一斉に移動する圧巻のショーです。
阿部さんは、先輩飼育員と無線でやり取りしながら水槽のイワシを誘導する餌を屋上から投入します。
高校生の時に水族館に関わる仕事がしたいと思った阿部さんは、広島県の海洋系の大学に進み地元の水族館で念願の飼育員になりました。
阿部咲萌さん「大学でクロウミウマというタツノオトシゴの研究をしていて、仙台うみの杜水族館もサンゴタツとかアマモ場の研究や活動をしているので、携わっていって宮城の海がもっと良くなるような活動ができたら」
イルカやアシカのパフォーマンスを担当するチームの新人、渡邊羽奈さんはこの日アシカに初めて餌やりをできるようになった日です。先輩に見守られながらの餌やりです。
先輩飼育員の安藤菜穂さん「出来栄えは、すごい。初めてにしては、すごい上手でした」
宮城県塩釜市出身の渡邊さんは子どもの頃から釣りが好きで、海に親しんできました。海が好きという思いが変わったのが、14年前の東日本大震災でした。
渡邊羽奈さん「震災当時はまだ6歳、小学校入学前だったので実感はそこまで無かったんですけど、豊かな海が急に一変して、すごく怖い印象になってしまったのがすごく記憶にあるので」
怖い海という印象を変えてくれたのもまた海や水の中、そして水族館でした。小学3年生から10年間続けたアーティスティックスイミングは、渡邊さんに水の中で泳ぐ楽しさを教えてくれました。オープン当初の仙台うみの杜水族館にも、何度も通いました。水族館で勇気をもらい豊かな海を伝えたいと思った渡邊さんは、イルカのトレーナーとして一人前になることが目標です。
渡邊羽奈さん「私たちも家族も勇気をもらった水族館なので、次からは私たちが勇気を与える番だと思っているので、これからも頑張っていきたいと思います」
飼育員になる夢をかなえた3人は今後、仙台うみの杜水族館を訪れた人と動物を幸せにできるよう、経験を積んでいきます。