津波で被災した仙台市の沿岸地域にまつわる「伝承」をテーマにした展示が若林区で開かれています。

 若林区の「せんだい3.11メモリアル交流館」で開かれているこの企画展は、震災で大きな被害を受けた仙台市沿岸地域をめぐる伝承を「声」に着目して紹介しています。

 若林区七郷地区でかつて地域の情報を伝えていた有線放送。昭和30年代には、地区に古くから伝わる「伝承」を放送していました。今回、仙台市博物館に残されている当時の手書きの原稿をもとに「七郷の歴史」、「神屋敷の話」、「慶長年代の大津浪の話」の3本がよみがえりました。

 有線放送・慶長年代の大津浪の話「我が郷土の先祖たちがこれまで艱難辛苦、勤労を惜しまず作り上げた田や畑が皆、海の水浸しとなり、家、屋敷、建物、流され潰され…」。

 会場ではこのほか、映像と音声を交え、地域の石碑を守り続ける住民の話や地名の由来などを紹介しています。

 会期中、土曜日曜は1日60人ほどが訪れ、中には震災後に沿岸部から集団移転し、展示を見て「昔聞いた話を思い出した」と懐かしむ人もいるということです。

 せんだい3.11メモリアル交流館交流係・三條望さん「伝承や物語を聞いて地域の以前の営みに思いをはせて想像していただけたら何よりもうれしい」。

 この企画展は入場無料で、13日まで開かれています。