宮城県名取市の閖上地区で活動する語り部の女性が石巻市で23日に講話を行い、今なお消えぬ後悔について語りました。
講話は石巻市で震災伝承に取り組む団体が、名取市で伝承施設「閖上の記憶」を運営する丹野祐子さんを招いて開催したものです。 丹野さんは震災の津波で当時13歳の息子と義理の両親を亡くしています。
津波の恐ろしさが分からずすぐに避難することができなかったことへの後悔について語りました。
丹野祐子さん「なぜあの時『津波は家を流す人の命を飲み込む恐ろしいものだから早く逃げろ』って、私は義理の両親に伝えることができなかったのか、今それをとても後悔しています」
丹野さんは毎年3月11日に鳩の形をした風船を空に飛ばし、亡くなった人たちを追悼しています。
講話後には、伝承館を訪れた人たちもそれぞれの思いを風船に書き込みました。
丹野祐子さん「町が本当に変わっていって、今はどこに津波が来たのか想像することが難しくなってきたのが現実。だからこそあの日を語る人間がこれから出てくるべき。景色が変わった今、ようやく私たちはスタートラインに立てているんだと思います」