宮城県が5月10日に公表した新たな津波の浸水想定について19日夜、岩沼市で県内初となる住民説明会が開かれました。住民からは、避難についての懸念の声なども聞かれました。

 19日夜に岩沼市で開かれた住民説明会には、防災集団移転先の玉浦西地区でまちづくり協議会の会長を務める森博さんの姿がありました。

 森さんは、津波で自宅が全壊し、玉浦西地区への移転後は交流イベントなどまちづくりに尽力してきました。

 今回、県の新たな想定で玉浦西地区が高さ1メートルから3メートル浸水すると聞きショックを受けました。

 岩沼市玉浦西まちづくり住民協議会森博会長「10年11年なってやっと落ち着いてきて住み慣れてきたところに、またそんなこと出してきて、何かなって複雑な感じでしたね」

 森さんは、新たな想定のような津波が来た際には、沿岸から内陸に続く避難道路が大渋滞するのではないかと懸念しています。

 岩沼市玉浦西まちづくり住民協議会森博会長「3月に地震があった時も県道がダーッと並んだのでね。浸水想定を生かすと言ってもどうしようもできないね、私らは正直」

 そして迎えた住民説明会では、県の担当者が岩沼市では最悪の条件が重なった場合、最大で11.2メートルの高さの津波が襲来することや、震災では津波が到達しなかった岩沼市役所も浸水域に入ることなどを説明しました。

 質疑に移ると、住民からは森さんと同様に避難道路の渋滞を懸念する声も出ました。

 住民「毎回毎回の地震のなかで駅の方に向かう道路は非常に混んで、とにかく怖い。避難できる道路を、まずは速やかに作っていただいて」

 岩沼市社会福祉課安斎武課長「渋滞のシミュレーションをかけようとしております。市全体として考えていこうというふうに進めていこうと」

 市は、ハード面の整備は限界があるとして、避難ルートや避難場所の確認をしてほしいと訴えました。

 説明会を終え、森さんは防災への思いを新たにしていました。

 岩沼市玉浦西まちづくり住民協議会森博会長「防災っていうのは常に頭に入れておかなければいけない。私自身も考え直すというか、これからの町内会のことも、浸水想定も頭に入れてやってかなくちゃいけないのかなって思いはしましたね」