宮城県は5月に公表した津波の浸水想定で悪条件が重なった場合、死者は約5500人、全壊や焼失する建物は7万7000棟に上る試算を示しました。
県は新たな津波の想定として、東日本大震災と同じ規模のマグニチュード9.0の地震が起きた場合の浸水域を5月公表しました。
それに対応して22日、季節や時間帯ごとの人的被害や建物被害の想定を公表しました。
最も被害が大きくなるのは冬場の夕方に地震が起きた場合で、津波や地震の揺れ、火災による死者は5498人、7万7612棟が全壊・焼失するということです。
死者数のうち95%が津波による被害で、寒さから避難行動に移る速度が鈍く、浸水予想範囲にとどまる人口が多くなることから被害が大きくなると予想されました。
一方で、津波による死者数は住民の7割が地震発生から7分以内に避難、残りの3割も17分後までに避難を開始すれば87%まで減らすことができるとしています。
市町村別の被害想定も公表され、死者数は石巻市が2198人と最も多く県全体の約4割を占めました。
次いで仙台市全域が507人、気仙沼市が473人、岩沼市が455人などとなっています。
東日本大震災では津波や地震の揺れなどで約9600人が死亡しましたが、その後、かさ上げや高台移転などが進んだことで、震災時の死者数を下回る想定が示されました。
宮城県は、2023年2月にライフラインや経済的被害額の想定を出すとともに、被災直後から数カ月後までの災害復旧のシナリオを示す予定です。