壊れたおもちゃに再び命を吹き込む、おもちゃのお医者さんです。仙台市を中心にボランティアで活動している、おもちゃ病院です。
大好きだったおもちゃ。見つめる小さな瞳。大切な思い出や記憶をよみがえらせてくれる病院。
おもちゃドクター「ぬいぐるみ?」母親「しゃべるんですけど、スイッチ入れてもしゃべらなくなって」
おもちゃドクター「恐らくスピーカーが駄目になったんだね」
祖母「これも本当はクルクル回ってたんだけど、回らなくなったみたいで」
子ども「こう押したら笑いながら回るんだけど、笑わなくなった。笑ってた時は私も面白くて、笑ってた」
治療に当たるのは、おもちゃドクターと呼ばれるボランティアの人たちです。仕事を引退した60代から80代のシニア世代の人たちが、児童館や市民センターで毎月決まった曜日におもちゃ病院を開いています。
修理費用は無料で、おもちゃの持ち主の負担は部品代だけです。
おもちゃドクター柏和郎さん「ここが折れたんですよ。電極が折れて。手作りですよ、この部分は銅板で。こういう物を探し出すっていうのが大変なんですよ。できるだけ、お客さまには費用が掛からないようにしてます」
使わなくなったおもちゃから使える部品だけを取り外し、修理するおもちゃへ再利用します。
音が鳴らなくなったおもちゃ。断線していたスピーカーを修理。
子ども「ありがとう」
おもちゃドクター加藤宏さん「子どもにとっても、修理すれば使えるんだということの一つの勉強にもなってもらえるんじゃないかなと思う。ただ、最近では自分自身のボランティアだと思っている。頭使うし、手先使うから」
時間内で治せなかったおもちゃは、自宅に持ち帰り修理を行う入院となります。
おもちゃドクター柏和郎さん「壊すのが子どもにとって当たり前。壊すことによって成長していくと、物を大切にしようというのがだんだん生まれてくる。命をつなぎたいというのが一つかな。可動できた物として再生して、また使ってもらえる。20年30年大事に使えば使えるわけですよ」
「遊びたいなと思ったら、もう動いてなかった。動かなかった。その当時、すごくこのおもちゃがはやっていたので、クリスマスの朝に枕元に置いてあってすごい喜んだ記憶があります。娘と遊べたら良いなと思って」
おもちゃドクター鎌田博明さん「これがすっかりごみかぶって黒くなって、電気の通りが悪くなっていた。それを磨いて」
「懐かしい。ありがとうございました」
この日、おもちゃ病院に届いた1通の手紙。送り主は、以前ぬいぐるみの治療をお願いした女性からでした。 綴られていた、ぬいぐるみへの思い。
おもちゃドクター「35年ほど前アルバイト先を辞める時に、会社の方々がお金を出し合って記念にと買ってくださったぬいぐるみなんです。とても大事にしていましたが、布も劣化し自分で縫ってもすぐに解けてしまい困っていました。大人の私でもこんなにうれしいのですから、子どもたちが壊れたおもちゃがよみがえって戻ってきた喜びは、どんなに大きいかと思います」「まさかお礼状が来るとは。それだけ納得してもらったから」
壊れたおもちゃに再び命を吹き込む、おもちゃのお医者さん。物を大切にする優しい心を伝えていきます。