日本で初めての女子大学生は110年前に東北大学で誕生したことをご存じでしょうか?女性が高等教育を受けることが当たり前ではなかった時代、当時を思い起こす特別展が7日から始まります。
東北大学で7日から始まる特別展。110年前に「日本初の女子大生」が東北大学に誕生してから1世紀の歩みを振り返る内容です。
なぜ東北大学に日本初の女子大学生が誕生したのでしょうか?
3つ目の帝国大学として創設した東北大学は創設から7年後の1913年、3人の女性の入学を許可し日本初の女子大学生が誕生しました。
大学に残された1通の公文書。
女性が入学試験を受けていると聞きつけた当時の文部省が送ったものです。
加藤諭准教授「『元来、女子を帝国大学に入学せしめることは前例これ無き事』という風に書いてありますので、国の方からは女性が大学に入るのは前例がない事件だという言い方をするんですね。大学側は何を考えているのか、意見を聞きたい、少し圧力をかけてきたような文書になります」
当時は大学予科と呼ばれた旧制の高等学校からが帝国大学への一般的な入学ルートでした。
高等学校は男子のみに限られ、東北大学より先にできた東京大学や京都大学が女子大学生を受け入れたのは戦後のことです。
東北大学は創設以来「門戸開放」の理念を掲げ、今で言う専門学校や教育大学の学生にも入学の制度を設け、女子大学生の誕生につながりました。
今回の展示は3人の中のひとり、黒田チカ博士の遺品およそ4000点が遺族から大学に寄贈されたことがきっかけです。
化学科を卒業した黒田チカさんは研究者の道を歩み、ベニバナやタマネギ、ウニなど植物や動物の色素研究に晩年まで取り組みました。
実験中に着ていた作業着も残されています。
加藤諭准教授「この辺もそうですけれどもすごく色がたくさんついている跡があるんですけれども、おそらく黒田が熱心に実験をしていたその証拠になるのかな。」
「多様な生き方をどういう形で実現していったら良いのか、これが110年前の黒田チカさんを中心とした女子大生の挑戦から描けると思いますので、社会が多様性をどういう風に育むか、そこをより多くの方に知ってもらいたいし見てもらいたい」
特別展は東北大学片平キャンパスの史料館で7日から開かれます。入場は無料です。