大阪府の吉村洋文知事に、開幕まで1年半に迫った大阪・関西万博について伺います。会場の建設費については厳しい声もありました。その建設費の推移についてまとめました。

 建設費は国と大阪府・大阪市、経済界で3分の1ずつ負担することになっていますが、開催が決まった2018年時点の見積額は1250億円でしたが、2020年には1850億円に増額、現在は2350億円まで膨らんでいます。こうした状況は何が原因なのでしょうか。

 吉村大阪府知事「まず1250億円から1850億円に増額になったのは、デザインの変更とかいかに快適に過ごしてもらうか。2回目の増額は1850億円から2350億円で今回なんですけど、理由は明確でこの3年間で建築資材が高騰していまして1.3倍くらいに増えている。同様に1850億円から約1.3倍が2350億円。建築資材と人件費が上がったことによる増加額というのが実際のところですね」

 Q.懸念されている声が多いんですけど、更に上がってくる可能性はあるのでしょうか。

 吉村大阪府知事「今回1850億円から2350億円に上がったところで、これからの物価高騰も踏まえたうえで算出しています。コストを厳格に管理するのは当然ですから。3分の1は国が負担するということなので、3分の2は税金になりますからコストは厳格に管理をしていきます。ただコストは掛かるんですけど、同じように経済効果もありまして、経済効果は2兆4000億円から2兆8000億円という非常に大きな経済効果も生じますから、そういった意味で、経済的にはプラスだろうと」

 「経済的な理由以外で大切だと思うのは、世界の課題を解決するために160カ国が集まって最新の技術とか考え方とかを発信する、6カ月共有する、そこに次の未来をつくる若い世代や子どもたちには参加してもらいたい。それによって、次の未来社会をつくっていくことにつながれば万博の意義というものも広いものになってくる。日本全体でそういったことができればいいなと思います」

 「宮城県民のインタビューでもありましたけど、中身がまだまだ見えないよねというご意見はその通りで、あと1年半ある中で中身をどんどん詰めていきますから、そこをこれからより具体的に発信していければと思います」

 Q.まだ出せていないものがたくさんあるということですよね。

  吉村大阪府知事「そうですね。各国がそれぞれ目玉のものを発信しようと思っていますから、160カ国それぞれに。例えば1970年万博だったら月の石でしたが、アメリカも前回より素晴らしいものをやると言っていますけど、まだちょっと出さないようにしようと。それぞれの国が、まだ1年半ありますからそれぞれが目玉のものを発信していく、最新の技術、これを見せたいというものを発信していきますので、これからどんどん発表されていきますから、是非そこを注目して頂ければと思っています」

 Q.2兆円超の経済効果という話もありました。会場となる大阪ですと、宿泊費ですとか交通費などで恩恵があるというのはイメージがつくんですけど、例えば、宮城県や東北に対する経済効果はどうお考えでしょうか。

  吉村大阪府知事「大阪・関西に2800万人の方がいらっしゃいますので、そこに大きな経済効果が生まれる。それを全国に広めたいと思っています。その仕組み作りも進めていまして、海外のお客様もたくさん来ます。国内からもいらっしゃいます。万博会場に来た人が、そこで終わらないので、そこから東北の魅力発信をどんどんしていただいて『じゃあ、大阪の次に東北に行こうじゃないか』と双方の行き来ができるようになれば経済効果も広まっていきますから、そういった仕組みを進めているところです。そういった話を14日の北海道・東北ブロックの知事会でもさせていただきました。大阪でやるんですけど、日本全体の万博ですから。効果が日本全体に広がる、人の交流がどんどん膨らんでいくことが実現できればと思います」

Q.メキシコとエストニアが参加を辞退する意向を示している。撤退の連鎖を心配する声も上がっています。今後、他国に連鎖することはないでしょうか

 吉村大阪府知事「実は同時に発表したんですけど、9カ国新たに参加するという意思表示がありました。ですので2カ国が参加を辞退したんですけど、9カ国が参加表明されましたので160カ国に増えました。メキシコもそうですけど、大統領選挙があったり国内の事情というのがどうしてもあって参加しない国というのはあるんですよね、万博というのは。前に行われた愛知万博の時も国内事情で7カ国撤退したということがありましたから、多少増減はするんです。それでも愛知県の時は120カ国参加、70年大阪万博の時は77カ国参加でしたから、今回の150カ国から160カ国というのは非常に多くの国が参加するので、そういった意味では、それぞれの国の魅力というのをここで発信する機会になると思います。連鎖するということは無いと思います。国内事情で撤退するという国はこれからも出てくるかもしれませんが、今回のように増えるところもありますので、増えた減ったというのは、意識する必要はないと思います」

Q.メキシコ撤退の第一報を聞いた時にショックはありましたか。

 吉村大阪府知事「いや、予想はしていましたね。愛知万博でも7カ国が撤退していますし、国内で複雑な事情のある国はありますから、何カ国かは撤退するであろうと。14日に発表があったように9カ国参加するという国も出てきましたから、そういった意味で増減する範囲の中で参加意欲のある国が150から160ありますから、日本の万博の中では最大の参加国数なので、そこで素晴らしいパビリオン、素晴らしい価値観、魅力というのを発信してもらえたらなと。6カ月間ありますから結構長い期間なんですよ。6カ月間で色々な国の価値観を日本の若い世代の皆さんも含めて知ってもらえたら面白いかなと思います」