沖縄で相次いで発覚したアメリカ軍の兵士による性的暴行事件。その情報が、政府や捜査当局から沖縄県に共有されなかったことが問題視されていますが、アメリカ軍から連絡を受けた外務省が、県などに伝達しない判断をしていたことがわかりました。

林官房長官 「情報の共有範囲について、被害者のプライバシーや、捜査への影響等を踏まえつつ、対応しているものと承知をしている」

1日の沖縄県議会に、県警の刑事部長が呼ばれ、説明が求められました。

沖縄県警・安里準刑事部長 「今回の事案については、性犯罪であったこと等を鑑み、被害者のプライバシー保護等の観点から、報道発表しておらず、被疑者を検挙、送致した段階では、県に情報共有は行っていない」

沖縄県に伝えられていなかった事件。 一件は、25歳の空軍兵が去年12月に起こした16歳未満の少女に対する不同意性交・わいせつ目的誘拐の罪で起訴されたというもの。もう一件は、今年5月、不同意性交等致傷の疑いで、20代の海兵隊員が逮捕されていたというものです。

沖縄県・玉城デニー知事(先月28日) (Q.12月に事件発生、3月の起訴の直後に県に伝われば、5月の事件は起きなかったか)米側に対しても、国に対しても、しっかり申し入れをして、被害が発生しないよう、注意を我々としても認識できた。その点については、非常に残念と言わざるを得ない」

在日アメリカ軍が関わる事件・事故では、日米間で情報共有の取り決めがあります。ルートは3つ。県警を通じ県に対し、直接伝達されるケース。もう一つは、在日アメリカ軍から沖縄防衛局を通じて、県に伝えられるケース。そして、大使館から外務省を経由して情報共有がなされるというものです。

1997年に書かれた文書には『事件・事故発生情報を得た後、迅速に沖縄防衛局に通報する』と書かれています。しかし、今回、本来、防衛省に伝えなければならない外務省で情報はストップしていました。

外務省日米地位協定室室長代理 「外務省としては、その情報の性質に関する捜査当局の判断を踏まえて、県や防衛省に対しては共有しなかった」

外務省 「常に関係各所に漏れなく通報することが必要だとは考えていない」

しかし、在日アメリカ軍による性的暴行事件は、沖縄県にとって重要な情報のはずです。

立憲民主党・屋良朝博衆院議員 「少女暴行事件は、1995年を受けて、97年に通報体制を見直しましょうと。皆で事件事故の防止も念頭に、仕組みをつくったわけですよ」

最終的に被害者と向き合うのは沖縄県です。

立憲民主党・屋良朝博衆院議員 「この子に対するプライバシーや、名誉を守ってあげるのは当たり前の話。社会的な保護とか、外務省はできるんですか。そういう判断したときに、この子を守ってあげられるんですか。じゃあ、守る人は誰ですか。地元の自治体でしょ」