秋のアメリカ大統領選挙で、バイデン大統領から後継に指名されたハリス副大統領が、選挙対策本部で演説しました。

ハリス副大統領 「皆さんと民主党を、そして国民を団結させるために全力を尽くします。これからの106日間、私たちにはやるべき仕事があります。戸別訪問をしたり、人々に話しかけたり、電話をかけたり、そして、選挙に勝つことです」

コロナ療養中のバイデン大統領も電話で参加。

バイデン大統領 「君を見守っているよ。愛しているよ」

引継ぎはこれで終了です。

大手メディアの集計では、ハリス氏は、指名獲得に必要な代議員の支持をすでに固めたということです。出馬の可能性が報じられていた人々や、ペロシ元下院議長らもハリス氏への支持を表明しました。

もっとオープンな議論が必要という声もありましたが、これで民主党は、候補者の一本化がほぼ完了したことになります。

急ピッチで新たなグッズを作っているようですが、ハリス陣営のホームページのURLは『ジョーバイデンドットコム』のままです。

もともと、劣勢からスタートしているハリス氏。挽回するためには、トランプ氏とどう戦っていくか、戦略が重要になります。

その1つが、選対で行った演説に現れていました。

ハリス副大統領 「カリフォルニア州の司法長官になる前は検事として、法廷で犯罪者たちと戦ってきました。女性を虐待する卑怯者、消費者から金を巻き上げる詐欺師、自分の利益のためにルールを破るペテン師。私はトランプのような人物を相手にするのは得意なのです」

検事と犯罪者というわかりやすい対立構図は、確かに武器となりそうです。しかし、直近の数字を見ても、彼女には“トランプ氏よりも人気がない”という大きな課題もあります。

ハリス氏の“戦いのカギ”は、何なのでしょうか。

コロンビア大学国際公共政策大学院・シャピロ政治学教授

「ハリス氏の大きな強みは“バイデン氏ではない”ことです。バイデン氏が『候補者として弱そう』というより『候補者として弱くなった』が、世界の共通認識です。選挙に関心がなかった新たな有権者から注目され、民主党に“風”が吹き始めています。バイデン氏の撤退で、“トランプ氏かバイデン氏”ではなくなったからです。選挙運動が活気づけば、若い世代も刺激を受け、特に無投票を検討している若い世代が非白人であるハリス氏への投票を考える可能性があります」

もう1つの課題は、大差をつけられている激戦州で、どう巻き返すかという点です。 ジョージア州の7.5ポイント差というのは、よほどの“風”が吹かない限り、巻き返せる数字ではありません。

そこで、2つめのカギとなるのが、副大統領候補だといいます。

コロンビア大学国際公共政策大学院・シャピロ政治学教授 「ハリス氏の弱点は“激戦州の白人層への訴求力”。特に、ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州です。必要なのは、教育水準を問わず、バイデン氏を支持した白人の票です。激戦州や、中西部の州知事を副大統領候補にするのが望ましい」