去年の中国と北朝鮮の貿易額が発表され、輸出入の総額は去年より5%減少しました。両国の間に吹く隙間風に振り回される市民を国境の街で取材しました。
中国・丹東から見える北朝鮮の街、新義州(シニジュ)。真新しい建物が数十棟並んでいました。
建てられたのは水害による被災者用の住宅で、先月に行われた竣工(しゅんこう)式には金正恩総書記も出席しました。
丹東の住人によりますと、対岸では去年9月ごろに工事が始まり、一日に3班が交代で休まずに建設していたそうです。
すでに生活している人もいるのでしょうか。窓の電気がついたり消えたりする様子も確認できました。
今の北朝鮮との関係について、丹東の人は…。
丹東市の住民 「コロナの後も貿易や往来は少ないね。北朝鮮への観光も再開していないよ。地方にいる軍人時代の友達も北朝鮮に行きたいと言っているけど、まだ行けていないね」
2024年は中朝国交樹立75周年の節目の年で「友好の年」と定められていましたが、中国税関の発表によりますと、北朝鮮との輸出入額は前年比5%減と停滞。北朝鮮がロシアに兵士を派遣するなど軍事的な関係を強めたことで、中朝関係が冷え込んだとも指摘されています。
影響はさらに広がっています。2016年に運営が開始された中朝貿易区。いち早く電子商取引が導入され、注目されました。しかし、中朝を結ぶ新しい橋が開通しないことに加え、コロナ禍などもあり、中朝間の貿易環境は年々、厳しさを増しているといいます。
丹東市の建材業者 「客は多くないね」 「(Q.商売はどう?)あまり良くない。年々、悪くなっている。客はほとんど中国人で、北朝鮮の人は少ないよ。コロナの前はいたんだけど」
丹東市の内装業者 「国の政策が出るのを待つしかない。我々は個人経営だから。橋が開通したら、きっと良くなるでしょう。我々のメインの客は北朝鮮の人なので」
北朝鮮との関係は「良い」と話す人も多いなか、中国と北朝鮮の間に吹く“隙間風”。国境の街では多くの人が交流再開を心待ちにしていますが、関係は修復されるのでしょうか。