長野駅前で3人が殺傷された事件です。早朝の逮捕劇となりました。容疑者の高校時代の友人は「人生順調そうだった」と当時の様子を話しています。

■長野3人殺傷 46歳男 朝の逮捕劇

(松永五九雄記者)「今、男が乗り込んでいきます。青い上着の様に見えます。周囲をたくさんの捜査員に囲まれて今男が車に乗りました。午前7時24分です。動きがありました。」 22日、長野駅で起きた3人殺傷事件で長野県警は26日、長野市西尾張部に住む無職、矢口雄資容疑者46歳を殺人未遂の容疑で逮捕しました。 (長野県警本部 吉沢敏刑事部長)「今回の事件は、県民の皆様始め、社会に多大な不安を与える凶悪極まりない事件であり、10都県警察からの応援をいただき、特別警戒を実施する中で、強力に捜査を推進してまいりましたが、多くの皆様から多大なご理解とご協力をいただきまして、被疑者を逮捕することができました。」 事件発生から5日目、急展開を迎えた事件。容疑者の自宅はアパートの最上階にあるため、下には落下に備え救助エアマットが設置されるなど、物々しい雰囲気に包まれました。 (草薙和輝アナウンサー)「つい先ほど40代の男が逮捕されたということで男の自宅の前にはご覧のように報道陣、さらには多くの警察官の姿が見られます。男の自宅は長野駅から東に数kmのところにありました。」 (近隣住民)「“ドカン”というような変な音がして」 Q.1回ですか? 「1回だけしたような気がした。警察がドアでも壊したんじゃない?」 Q.何時くらい? 「(午前)7時くらいかな。」 (近隣住民)「寝ててそれで急にチェーンソーの音が聞こえて、木でも切っているんじゃないかなくらいの音がしまして、ドンと倒れるような、今思えば扉か何か地面に落ちたような音がして、警察の方が出入りしているような形で外にも5、6人待っているような感じでした。」 近所の目撃者によると、警察は突入の際、チェーンソーを使いドアを開けたといいます。警察官の中には特殊部隊のような姿も…自宅に警察が入った時、矢口容疑者は暴れるなどの抵抗する様子は無かったといいます。矢口容疑者とはどの様な人物だったのでしょうか…

■「いつも作業着」46歳男 同級生は

(近隣住民)「灰色っぽい作業着、上下着ていました。毎日同じ格好で、いつも作業着着ているから、どこか工場にでも勤めているのかなと思って、1週間に2、3回は見てましたね。この人は真面目に仕事に行って独身なのかなと思っていました。毎日あそこの川づたいで(コーヒーを)買って出かけていましたね。すぐそこにあるんです、自動販売機。」 (草薙和輝アナウンサー)「矢口容疑者は、こちらの集合住宅で一人暮らしをしていました。実家は長野市内にあり、高校までを長野で過ごしてきたといいます」 (中高の同級生)「普通に友達もいて、人生順調にいるんだろうなってタイプでしたよね。言動がおかしいだとか突飛なことをするとか、そういったことは全然なかったです。バスケットボール部は中学のころの話であいつ高校で部活入ったのかな、入っていないのかなと思い出せない、そんな程度の付き合いですね。」 成績は中の上クラスだったという矢口容疑者。地元の高校をでると東京の大学に進学し、関東で就職したと言います。 (中高の同級生)「卒業後に会ったときの話ですと、千葉か(どこか)でコンピューター関係の仕事、プログラミングとかITとか、そんな方面をやっているっていう話は聞いた」 10年ほど前に実家へ戻ってきたという矢口容疑者。実家近くの住民は… Q.そのあと戻ってきた? (実家近くの住民)「(実家に)戻ってきた」 Q.突然この家に? 「戻ってきて突然いなくなった」 Q.10年以上前? 「そう、手ぬぐいを頭に巻いて、作業服みたいなので、その辺出たり入ったりしたのを見たことがある」

■「ヒゲなし」46歳男 公開写真と違い

事件は22日の夜、JR長野駅前で発生し、男女3人が次々に襲われ丸山浩由さん(49)が左胸の横などを刺され死亡。男女2人が重軽傷を負いました。矢口容疑者を知る人は逮捕前後の容姿の違いに戸惑いを隠せません。当初、警察が公開した写真にはあごにヒゲかマスクのようなものがあり、メガネをかけています。一方、朝逮捕された時の矢口容疑者にはヒゲも無く、メガネもかけていません。別人の様に見えます。 Q.以前見かけた時にヒゲは? (近隣住民)「そういうの全然ないんですよ」 Q.メガネとかもですか? 「メガネも無かったし、帽子かぶっているとかヒゲ生えているとかそんなことは全然なしで。」 (中高の同級生)「こんな写真でも知り合いが見ればわかるかもしれないね、なんてのんきなこと言っていたぐらいで、まさか知り合いだとは思いませんでした。」 警察は今回、駅周辺の防犯カメラ映像を追うリレー捜査で矢口容疑者逮捕に至ったといいます。事件直後、矢口容疑者は南西に走りながら移動。駅で停車中だったタクシーの車載カメラには矢口容疑者とみられる男の走る姿が捉えられています。男はそのままホテルの方向へ移動しています。捜査関係者によると、矢口容疑者はホテルの南側の線路沿いの道を逃走した可能性があると見て捜査していました。事件現場から西方向に逃走した矢口容疑者。しかし矢口容疑者の自宅は真逆の東側に3kmほど離れた場所にありました。

■46歳男 逮捕決め手は「リレー捜査」

(草薙和輝アナウンサー)「矢口容疑者の自宅では現在家宅捜索が行われており、部屋の前にはブルーシートが張られています。」 捜査本部を設置し約220人態勢で進めてきた捜査…実は警察は事件翌日からある動きをしていたといいます。 (草薙和輝アナウンサー)「事件発生の翌日から容疑者の自宅周辺の店舗に対し、警察からお店の駐車場を貸して欲しいと依頼があったということです。」 (容疑者自宅近くの飲食店)「(事件翌日)23日の夜くらいから警察の車が3、4台駐車場に来て、停めさせてくださいということで。」 Q.捜査員はどれくらいいた? 「車に2人ぐらいは乗っていたと思います。7、8人はいたんじゃないですか。パトカーじゃなくて普通の車ですね。」 警察は矢口容疑者の自宅アパートから約150mの位置にある駐車場に集結。その態勢は事件翌日から26日の朝方まで続いたといいます。駐車場からは矢口容疑者の部屋が確認できます。 Q.車の中はどういう様子でしたか? (容疑者自宅近くの飲食店)「やっぱりアパートの方を見ている感じですかね。」 Q.容疑者の自宅アパート? 「そうですね」 (草薙和輝アナウンサー)「時刻は午後5時です。捜査員を乗せた車が容疑者の自宅をあとにしていきました」 容疑者逮捕の一報に献花に訪れていた長野市民は… (長野市民)「市民生活にも影響が出ていたので正常に戻るのかなという思いはありますね。」 Q.犯人が捕まって? 「安心という部分が一番。」 「ちょっと不安だったので、子どももいますし、登下校の時心配していましたので、犯人が捕まってホッとしていることは確か。被害者の方は突然のことで、ご家族の方もきっと苦しい思いをしていると思うので複雑な思いですけれども…」 警察の取り調べに対し矢口容疑者は黙秘をしているといいます。いまだ凶器は発見されておらず、警察は今後、犯行の動機を含め殺人容疑も視野に捜査を進める方針です。

1月26日『有働Times』より