いよいよ動き出したトランプ新政権ですが、目玉計画を巡っては、“盟友”から批判の声もあがる事態に。新政権にほころびが出始めているのか、専門家に聞いていきます。 ■WHO脱退“見直し”の可能性も

ラスベガスのカジノに現れたトランプ大統領。演説では就任初日に脱退を表明したWHOについて―。 (トランプ大統領)「アメリカは年間5億ドル(約780億円)を支払っているが、中国ははるかに人口が多いのに3900万ドル(約60億円)だ。」 こう批判した上で、アメリカの拠出金が引き下げられれば、脱退を見直す可能性を示唆しました。 (トランプ大統領)「もしかしたらまた検討するかもしれない。」 ■「誰よりも悪人」“不法移民”を送還

最優先課題に掲げる“不法移民対策”も次々と実行に移されています。 (不法移民のギャング)「トランプ、ふざけるな!バイデンよ、永遠に」 ホワイトハウスの報道官によると23日時点で、不法移民538人を拘束したと言います。 (トランプ大統領)「強制送還はうまくいっている。凶悪な犯罪者を追放する。やつらは殺人者で、誰よりも悪人だ。」 まずは“犯罪歴がある”不法移民がターゲットですが、さらに対象が広がる可能性も―。 ■不安募るハイチ移民「国戻れば死ぬ」

ハイチからの移民が多く暮らしている、オハイオ州の“スプリングフィールド”。 (鈴木彩加記者)「アメリカメディアによりますと、トランプ氏が当選してからわずか2カ月半の間に、数千人のハイチ移民がこのスプリングフィールドの街を離れたということなんです。」 トランプ氏が大統領選の討論会で「スプリングフィールドのハイチ移民がペットを盗んで食べている」という根拠のない主張をし、注目を浴びた街です。 トランプ氏は撤回するどころか、スプリングフィールドを名指しし、こう宣言しました。 (トランプ大統領)「歴史上、最大の強制送還を実施する。」 ハイチは2021年の大統領暗殺後、首都圏の多くの地区がギャングに支配され、治安が急激に悪化。ハイチからの移民には、アメリカ政府から「一時保護資格」が与えられていて、ほとんどは合法的に滞在しています。 しかし、トランプ氏は大統領就任前、この制度を廃止し、“不法移民”として強制送還する考えを示していました。 (ハイチ料理店を営む ケトリー・モイーズさん)「ポークをゆでたものです。これで料理します。」 夫婦でハイチ料理店を営んでいるモイーズさん。彼女は「一時保護資格」での滞在のため、トランプ大統領の移民政策によっては、強制送還される恐れがあります。 (夫 ダーバー・ジャーメインさん)「彼女は怖がっています。」 (妻 ケトリー・モイーズさん)「でもどうすることもできない。ハイチには戻れません。戻ったら死んでしまうと思います。ハイチではすべてを失いました。不安定な状況なので戻れません。」 モイーズさんたちは、トランプ大統領が考えを変え、強制送還されないことを祈るしかありません。 (夫 ダーバー・ジャーメインさん)「私たちは犯罪者ではありません。法に従って生きていれば、ハイチに追放されたりしないと思う。」 ■“盟友”マスク氏 目玉計画を批判

新政権始動で日米関係はどうなるのか。就任初日のルビオ国務長官と会談した、岩屋外務大臣。 (岩屋毅 外務大臣)「今後とも日米同盟を新たな高みに引き上げていこうと。」 日米同盟のさらなる強化で一致、首脳会談も来月前半の予定で調整が進んでいます。 一方、トランプ大統領、肝いりのプロジェクトをめぐり、政権内では早くも“ほころび”が。 (トランプ大統領)「これまでにない桁外れに大きなAI投資プロジェクトを発表する。」 ソフトバンクグループや、ChatGPTで知られるオープンAIなど3社がAIインフラ整備を進める、スターゲート計画。5000億ドル、約78兆円が投じられる巨大プロジェクトです。 しかし、これに側近のイーロン・マスク氏が疑念を投げかけたのです。 (イーロン・マスク氏のX)「実際のところ彼らには資金力がない。ソフトバンクは100億ドル(約1兆5600億円)をはるかに下回る資金しか確保していない。確かな筋からの情報だ。」 これを即座に否定したのが、オープンAIのCEO、サム・アルトマン氏。 (オープンAI サム・アルトマン氏のX)「(資金不足は)間違っている。すでに始まっている現場を見に来るかい?これは国にとって素晴らしいことだ。」 今度はマスク氏がアルトマン氏を攻撃。 (イーロン・マスク氏のX)「サムは詐欺師だ。」 実はマスク氏はオープンAIの共同設立者でしたが、意見の対立から撤退。二人は“犬猿の仲”として知られています。 (トランプ大統領)「マスク氏はメンバーの1人が嫌いなんだ。金があるかはわからないが、彼らは資金を出す。大金持ちなので、期待しているよ。マスク氏はたまたまその1人が嫌いだが、私だって人を嫌いになることはある。」 1月26日『有働Times』より