トンネルを掘削する工事で、爆破の際に作業員が手の感触で行っている火薬の装填(そうてん)を、遠隔操作でできる初めての技術が公開されました。
2021年、リニア中央新幹線の工事現場で、トンネルを掘削する際に土砂などが崩れ落ち2人が死傷しました。
このような事故を防ぐために開発されたのが「自動火薬装填システム」です。
山岳トンネルを掘削する際の爆破では、作業員が繊細な力加減や指先の感覚で直接火薬の装填を行っていますが、土砂崩れなどの危険を伴います。
大林組トンネル技術部 渡辺淳技術第一課長 「(以前から)火薬を直接穴に詰めて木の棒で押し込むという作業を行っている。この際に岩が崩れ落ちてきたりすると人がけがをしてしまうために、簡易の落石防護ネットや屋根を設けて作業をしているのが現状」
建設大手の大林組と慶応大学の研究チームが開発したこのシステムは、遠隔操作で人の手の感触を再現する「リアルハプティクス」と呼ばれる技術を応用しています。
慶応義塾大学理工学部 野崎貴裕准教授 「これ(リアルハプティクス)によって人間は現場にいなくても、あたかもその場にいるような感覚で作業をすることができる」
長野県で行われた実験では、トンネルの外から作業員が映像を見ながら遠隔操作で火薬を装填し、爆破することに成功しました。
将来的には大型重機を自動運転化し、トンネル掘削作業の無人化を目指しているということです。