去年12月、「日本の伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、海外では日本酒に対する注目度が一気に高まっています。
去年、カリフォルニア州で発売されて人気となったスパークリングSAKE「SummerFall」。
日本酒としてはとても珍しい「250ミリリットル缶」でパッケージもカジュアルです。
一般的な日本酒のアルコール度数は15%ですが、こちらは11%と低めになっています。
先月中旬から都内近郊で販売が始まりました。
「サマーフォール」を手掛けた稲川琢磨社長(36) 「日本酒のマーケットでいうと、20年前に3000蔵ぐらいあった酒蔵さんが、シュリンク(縮小)している市場の中で今、1500蔵ぐらいになってしまっている。だんだん(日本国内で)日本酒が飲まれなくなってきている」
稲川さんは2016年、酒を製造・販売するWAKAZEを創業し、「日本酒を世界酒に」というビジョンを掲げています。
株式会社WAKAZE 稲川琢磨社長(36) 「伝統的な文化をしっかりと後世に引き継いでいくためにも、 我々がやっていかなきゃいけないのは海外市場の開拓かなと。海外に対する日本酒の輸出額は年々伸びてますし、需要を海外で作っていくことが大事。最初からグローバルでやろうと考えていました」
カリフォルニア発「SummerFall」は、西海岸の明るいカルチャーをイメージしています。
小さめの缶に入っていて手軽にどこでも飲めるスタイルが若い人たちの間で人気だということです。
また、稲川さんはCO2削減を目指すアメリカでは、輸送や冷蔵保管による二酸化炭素排出量が多い瓶から缶への移行が進んでいることから、そのトレンドにもマッチしたと話します。
株式会社WAKAZE 稲川琢磨社長(36) 「(Q.『SummerFall』を日本に持ってきた理由)日本酒離れが進んでいるなかで、リサーチをしたところ、 若い方々が『日本酒トライしたい』と思っているのに、そこに対してちょうどマッチするようなプロダクトがないっていうことが分かって、(SummerFallを)提供する価値があるのかなと考えて、最終的に逆輸入をすると決めました」
こちら、WAKAZE初の醸造所があった東京・三軒茶屋。同じ街で店を構える「居酒屋ひでじろう」では1月下旬から「SummerFall」を飲み放題メニューに追加しました。
店のスタッフのおすすめとあって、注文する客の姿が多くみられます。「SummerFall」の扱いを決めた理由は何だったのでしょうか。
「居酒屋ひでじろう」プロデューサー 直野秀治郎さん 「(WAKAZEが)缶に入ったお酒をリリースしたとSNSで見た。なんと日本では飲めない、アメリカだけ。なかなか面白そうなお酒を造るな。(醸造所があった)三軒茶屋のご縁というのもあるので、社長の稲川さんと話して『ぜひ取り組みを一緒にしましょう』と」
この「スパークリング日本酒」を実際に飲んだ客は…。
飲んだ客 「微発泡っていうのが最初から飲めちゃう。一番初めに注文しちゃう感じ。するする飲みやすくて飲み過ぎますよね、これはね」 「居酒屋だけじゃなくて、旅に出た時に、持ちやすさ、運びやすさがすごくいいなと。ちょっとした『居酒屋新幹線』とか」 「逆輸入的な感じで日本でもはやってくるんじゃないか楽しみです」
客から高評価の「SummerFall」。小売店での売り上げも順調とのことで、いいスタートを切っているそうです。
「日本酒を世界酒に」。日本酒文化を守るため、WAKAZEは世界への挑戦を続けます。