中国のベンチャー企業「DeepSeek」が低いコストで高性能の生成AIモデルを開発したことが世界に衝撃を与えています。どのような影響があるのか、専門家に聞きました。

■ChatGPT並みの能力 開発費10分の1以下

 今、世界を驚かせているのが中国の生成AI「DeepSeek」です。

 「テレビ朝日について教えて」と質問をぶつけると、会社の概要を日本語でまとめてくれました。

 驚くべきは、その開発コストです。

01START 芝先恵介代表取締役 「約9億円くらいで開発できた。最低でも何百億円をかけてAIの開発をするのが常識だった。その常識が崩れた」

 DeepSeekの開発費は、およそ8億7000万円。これは「ChatGPT」を開発したアメリカの「OpenAI」と比べて10分の1以下です。

 それでも、性能は肩を並べるレベルだといいます。アプリランキングでは3位のChatGPTを抑えて1位にDeepSeekがきています。

 アメリカの生成AI分野における優位性に懸念が広がり、半導体大手「エヌビディア」の時価総額は、一時18%下落しました。

トランプ大統領 「中国製のDeepSeek公開をアメリカAI業界への警鐘として我々はこの競争に集中すべきだ」

 ただ、問題も…。

駒見直音アナウンサー 「天安門事件について詳細を教えてと、両方に質問してみます」

 チャットGPTは…。

駒見アナウンサー 「回答来ました。天安門事件の歴史背景、経緯、結果と影響までしっかりと説明してくれている」

 一方、DeepSeekは…。中国政府にとってタブーな話題には答えませんでした。

 こんな疑惑も浮上しています。

ラトニック商務長官候補 「我々の技術を盗用したり基にした」

 ブルームバーグ通信によると、DeepSeekの関係者がOpenAIのデータを不正に入手した疑いがあり、提携するマイクロソフトが調査を開始したということです。

 さらに、情報流出のリスクも…。

芝先恵介代表取締役 「中国側のサーバーにそのデータは蓄積される。最悪、中国政府が検閲する可能性はある」

 こうした懸念もあり、日本ではGMOが業務での利用を禁止。NECも「まだ利用できる状態ではない」と慎重な姿勢です。

 また、イタリアではアプリストアから削除されるなど、100社以上が利用を控える動きが広がっています。

 今後、AI競争はどうなるのでしょうか。

芝先恵介代表取締役 「(DeepSeekは)ChatGPTのような“先生”をうまく活用し、“生徒”として学習しているという話があるので、DeepSeekがその上をいけるかはまだまだ不透明」

(C) CABLE NEWS NETWORK 2025