重い障害があっても好きなことや得意なことを生かして仕事をして欲しいと、子どもたちの就労支援を進める団体です。
高校3年生の小助川羽良さん(18)は聴覚障害と知的障害、脳性麻痺による障害があり車いすで生活しています。コミュニケーション手段は、手話です。
この日は、同じく障害を持つ子どもたちと一緒に仙台市天文台へ。大学生や地域の方のサポートを受けながら、思い思いに楽しみます。
重度の心身障害を持つ子どもや医療的ケアが必要な子どもたちを支援する、仙台市泉区のNPO法人UBUNTU(ウブントゥ)です。
UBUNTU菅谷拓斗副理事長「いわゆる普通に生活していたら経験してきたことも、もしかしたら削ぎ落とされてしまっているという事がまずあって、経験をしないと選べないわけじゃないですか。なのでまず選択する前の経験をどんどん増やしてあげたい」
UBUNTUは、放課後デイサービスのほか地域のイベントへの参加やアクティビティ体験など様々な活動を通して子どもたちを支援しています。力を入れている事が、重い障害のある子どもたちの就労に向けた取り組みです。
UBUNTU菅谷拓斗副理事長「いわゆる就労支援と言われる枠組みは、施設がやってる作業や仕事の中でどれがはまるみたいな感じなんですね。本人が得意な事を仕事にする方法って無いかなってずっと思ってきたんですよ今まで」
羽良さんの就労に向けて菅谷さんが利用を検討している仙台市の重度障害者等就労支援特別事業は、障害のある人が働く際にヘルパーの支援を受ける際に利用料を仙台市が補助します。
民間企業に雇用されている、または自営業である事が利用の条件で、この春高校を卒業する羽良さんの場合は自営業者として開業届を提出し、支援を受ける準備を進めています。
UBUNTU菅谷拓斗副理事長「ヘルパーさえ付けられれば(仕事は)何をやっても良いというか、条件さえ整っていればと考えた時にすごく自由度が高くて本人の力を発揮できる、メリットしかない」
羽良さんがこの日に向かったのは、仙台市にある会計事務所です。就労に向けた第一歩として、仕事を体験しに行きます。菅谷さんもヘルパーとして同行します。
自営業者として羽良さんが仕事にしようとしている事の1つが、スキャンによる紙の資料のデジタルデータ化です。こちらの事務所でスキャンするのは領収書です。事務所の社長から機器の使い方や作業の手順を教えてもらいます。
タスキ―色川大輔取締役「これを押してもらう、取り込みというボタンを。領収書を選んでもらって」
1人1人の個性や適性に合った仕事をして欲しいと願う菅谷さんは、スキャン作業が羽良さんにうってつけの仕事だと言います。
UBUNTU菅谷拓斗副理事長「ボタンが光ったりスキャンした物が取り込まれて出てきたり。そういう事が羽良くんは好きなので機械を使った仕事、彼は耳が聞こえないので目で見て分かる仕事があったら良いなと思った時にこれ(スキャン)良いじゃんと思って」
40分ほどで40枚の領収書をスキャンし、この日の作業は終了です。デジタル化が進み資料のスキャン作業は増えているものの、専門の人材を雇うほどの作業量は無いためスキャンだけを請け負ってくれる羽良さんの存在は、事務所にとっても大きなメリットだといいます。
タスキ―色川大輔取締役「来てくれてスキャンしてくれるってあまりないんですよサービスとしても。なので純粋に障害者雇用とか抜きにして結構助かるんですよ。これは是非うまくできたらなと思って」
UBUNTUでは、制度を利用して羽良さんが3月の高校卒業以降働けるよう2月中旬にも仙台市に申請を行う予定です。
UBUNTU菅谷拓斗副理事長「障害が重度だから日常生活に介助が必要だから、それができないではなくてどんな人だってできるんだよっていうところを、環境と人さえあればできるよねっていうことを体現したい」