東日本大震災から3月11日で14年です。津波の教訓を次の世代に伝え続ける人もいます。宮城県女川町で長男を亡くした夫婦は、息子の生きた証を残そうと絵本を制作して命の大切さを語り続けています。

 田村弘美さん「あの時はすごく寒かったし雪も降ってきたし、そんな中でこんな所まで流されたのかなという思い。息子が本当にどんなに怖かったのかなと」

 宮城県大崎市に住む田村弘美さんと夫の孝行さんの長男健太さんは、東日本大震災の発生時に海の側にあった七十七銀行女川支店で働いていました。支店長の指示で支店の屋上に避難しましたがはるかに超える津波に襲われ犠牲になりました。

 8日、女川湾の目の前の広場で2人は絵本の朗読を準備していました。タイトルは「ふしぎな光のしずく〜けんたとの約束〜」です。5年をかけて2024年に完成し、健太さんが生まれた時の喜びや、津波に襲われた時の様子などを通して命の大切さを訴えます。

 田村孝行さん「息子の生きた証ですよね。息子の命を生かしていくんだという思いを含めた、祈りとか願いを込めた本ではないかと思います」

 この日は、震災について学ぼうと神奈川県から小学6年生28人が訪れました。これからを生きる子どもたちに、思いを込めて読み聞かせました。

 「真っ黒な海がついに健太たちのいる屋上まで襲い掛かってきた。少しでも高い場所へと屋上のそのまた上へ、みんなではしごをよじ登った。でも、もう逃げる場所が無い」

 小学生「こういうことって忘れちゃいけないと思っているので、だからこれからずっと自分が大人になっても振り返っていけるようにしていきたいと思います」

 田村弘美さん「真剣に受け止めてくれてすごくありがたい事だし、やりがいを感じますね。私が息子に今できる事は、こういうことしかないのでできるところまで頑張ってみようと思っています」