能登半島地震の被災地では住宅の公費解体が進んでいますが、現地再建か高台移転か復興の在り方で意見が分かれています。東日本大震災の事例を学ぼうと、石川県珠洲市の男性が宮城県石巻市を訪れました。
2月20日、珠洲市三崎町に住む出村正幸さんが石巻市を訪れました。
出村正幸さん「だいぶ落ち着いたんですよ。もう仮設住宅もできたし。落ち着いているんだけど何をやって良いのか分からない状態があって。能登の場合は東北に学ぶことができるので、それを吸収したいと思ったんですよね」
出村さんが暮らす下出地区は人口約80人の海に面した集落で、能登半島地震では約5メートルの津波が押し寄せました。
迅速な避難により犠牲者は出ませんでしたが、地震と津波で地区の35軒全ての住宅が被害を受けて約半数の16軒で公費解体が進んでいます。
住宅を元の場所で再建するか高台に移転するか、住民の間で意見が分かれています。
父親が区長を務める出村さんは東日本大震災での復興の事例を学ぼうと、震災で集団移転を経験した石巻市雄勝地区を訪れました。 出村正幸さん「高台移転とかの議論が少し始まっていて、果たして本当にそれが必要であるのか」
震災で人口が4分の1に減少した雄勝で、交流人口を増やそうと活動してきた徳水博志さんと意見を交換しました。
徳水博志さん「雄勝は大多数の住民が高台移転に賛同しまして、雄勝ではなく違う高台に希望を出して移転しています。一番多いのは、ここから10キロメートル離れた二子地区の集団移転地が一番多い。その次が石巻市の中心部の蛇田地区ですね。安全だけでは暮らしていけないということですよね。生業の再建をセットで考えないと、住民は暮らしていけないということなんですよね。僕は珠洲市でも同じ問題が起きていると思いますね」
徳水さんは、雄勝では住民の多くが生活の基盤を求めて地区を離れたことを説明しました。
高台移転するかどうかにかかわらず、過疎化が進む地域では生業の再建が欠かせないとして現地での復興だけでなく、市の中心部に移転するなど様々なまちづくりがあることを伝えました。
出村正幸さん「とりあえず復旧を済ませてインフラ整備して道路きれいにして、それが整ってから考えるのではなくて、1年しか経ってないこの状況のうちに今後どういう未来にするかを考えておく、調べておく必要があると思いますね」