2019年の台風19号による豪雨被害からまもなく3年を迎えます。住宅浸水などの大きな被害を受けた宮城県大郷町の粕川地区で、宅地のかさ上げ工事が終わり完成式が開かれました。

 完成式には、住宅の再建を予定している住民や町の関係者ら約40人が出席し、田中学町長と住民らがかさ上げを終えた土地の売買契約書に調印しました。

 田中学大郷町長「住家など流失、浸水の被害を受けられた方々に深くお見舞いを申しあげます」

 大郷町の粕川地区では、3年前の台風19号で地区を流れる吉田川の堤防が約100メートルにわたって決壊し、地区の約110世帯すべてが浸水被害を受けました。

 町は、住民らと話し合いを重ねて地区の土地約8900平方メートルを1メートルほどかさ上げし、災害危険区域に住宅の再建を希望する住民らのために5つの区画を整備しました。

 5つの区画のうち、4つの区画に住宅が、残りの1つの区画には寺が再建される予定です。

 住民「被災した私たちにとっては、すごく長い3年間でした。ただ、目標ができましたのでこの地に戻ってきて、新たに家を構えて生活していけるのがうれしいなと思っております」

 かさ上げの事業費は約3億2000万円で、このうち国が半額を負担しました。

 災害危険区域内を宅地として活用するためのかさ上げ事業に対する国の補助は、全国で初めてです。

 粕川地区では、2024年度の完成を目指して防災コミュニティセンターや、防災避難緑地の整備も進められています。

 大郷町では10月1日時点で、18世帯53人が仮設住宅で暮らしていて、町が整備する災害公営住宅は12月に完成する予定だということです。