輸入品の物価高に加えて、一向に収まる気配のない円安について、専門家に宮城県の経済や各家庭への影響を聞きました。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「これまでは商品そのものの価格が上昇していたんですが、今は為替の要因でそれが更に加速している。当面はこの円安基調は続くと見られます」
地域経済が専門で七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友首席エコノミストは、円安が続けば一次産業や運輸業などを中心に県内経済に大きな影響を与えると指摘します。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「特にエネルギーや肥料、飼料などの依存度が高い一次産業ですとか運輸業、このような業種では特に打撃は大きくなると見られます。(県内では)この円安による輸入コストの上昇によって企業部門全体の負担がだいたい3000億円程度になると見込まれており、これは県内総生産の約3%を占める非常に大きな金額となっていますので、そのマイナスのインパクトは極めて大きい」
また、円安は食料品やガソリンといった輸入品の値上げとなって家計にのしかかります。
2人以上の世帯の負担額は、物価高の影響も考慮して年間で約7万円増えるとみられています。
最も割合が大きいのは食料品で、次いでエネルギー関連、生活用品などです。
この負担額の増加は、低所得者層ほど全体に占める割合が大きく影響を受けやすいと言います。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席「2021年後半から2022年の初め位にかけては、コロナが収束したことによる海外経済の回復などによる商品そのものの価格が上がっていたことによる輸入コストの上昇だったと。上昇部分のうち、8割から9割が製品そのものの値段が上がっていることによる上昇だったと。ところが3月以降になってくると、ちょうど9月の円ベースの輸入物価指数は48%前年比で上回っているのですが、そのうちの27%が為替の要因」
田口さんは、中長期的には円安を追い風とした輸出額の増加や、水際対策の大幅緩和でインバウンドが急増することで国内経済がこれまでよりも潤うものの、円安基調を改善させるまでには時間がかかると見ています。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「しばらくは耐え忍ぶ時期が続くと、今価格が上昇している食料やエネルギーは生活必需品の中で基本中の基本のもの。こういったものは逆進性があって低所得の家計に負担が大きいということですから、そういった低所得者の世帯に対する支援、目配りは欠かせないと思います」