甚大な被害をもたらした能登半島地震は、活断層が動いた内陸の直下型地震とみられています。同様の地震は、宮城県でも危険性が指摘されています。次の災害への備えです。

 元日に能登半島を襲った最大震度7の能登半島地震で、石川県では死者が236人、4万3000棟以上の住宅が被害を受けました。ライフラインの復旧は遅れ約1万4000人が避難生活を余儀なくされています。

 甚大な被害をもたらした能登半島地震について、東北大学の遠田晋次教授は3000年から4000年の間眠っていた活断層が動いた内陸の直下型地震と指摘しています。
 阪神淡路大震災や岩手・宮城内陸地震、熊本地震など、活断層による大きな地震は少なくありません。
 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「宮城県にもいくつか活断層が分布しています。最も著名な主要な活断層は、長町ー利府線断層帯と言われる断層です」

長町-利府線断層帯

 長町ー利府線断層帯は、利府町から仙台市中心部を通り村田町まで約40キロにわたって延びています。断層が動いて地震が起きた場合、予想される最大震度は7で宮城県の死者数は約1100人と想定されています。
 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「能登半島地震の断層と共通しているのは、逆断層という岩盤が上下に動くタイプ。どのように動くかというと、岩盤が東西に押されるので押されてポンって上がるんです。耐震化が進んでいない建物の倒壊が考えられますし、市街地特有の被害が考えられると思います。特に、ラッシュ時とか非常に混雑する状況で起きた場合に、どうなるかはなかなか簡単には想像できないですけれども、大きな被害になることが予想されます」

 長町ー利府線断層帯では約3000年に1度地震が起きるとされていて、国の試算によると30年以内に地震が発生する確率は1%以下と示されています。しかし、最後に活動したのは1万6000年前より後としか分かっていないため信頼性が低く、地震の発生は予測できないと言います。
 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「能登半島地震も4000年ぶりのことが起きたということですけれども、被害を想定してどういう対策が立てられるかということを考えておくことが重要だと思います」

備蓄倉庫の点検

 指定避難所となっている仙台市若林区の小学校で、備蓄倉庫の点検が行われました。仙台市は指定避難所など330カ所を年に1回点検し、備蓄に不備がないかや発電機が正常に動くかなどを確認しています。

 能登半島地震では、発災直後に道路の寸断により避難所に物資が届かない問題が発生しました。東日本大震災の際に仙台市では最大10万6000人が避難していて、これに災害対応に当たる職員1万人を加えた計11万6000人の2日分の水や食料などを備蓄しています。
 仙台市防災計画課御供真人施設整備係長「東日本大震災前までは物流が回復するのは2日目からと想定していましたが、実際は3日目から物流が回復し出したということで、2日分は備蓄で3日目以降は外部から調達をするということで態勢を整えています」

 食料や毛布などは避難所に備蓄する一方、劣化しやすいトイレットペーパーやおむつなどの紙類は流通在庫備蓄方式で管理しています。市が購入した備蓄物資を流通ルートに乗せて企業の倉庫で備蓄します。

 仙台市は、みやぎ生協から紙類をあらかじめ購入していて災害時は区役所や避難所に配送され普段は一般商品として店舗で販売されます。
 仙台市防災計画課御供真人施設整備係長「保管スペースの省スペース化の他に、常に最新の状態のものを提供いただけるという仕組みになっています」

避難所の寒さ対策

 備蓄の他に、能登半島地震の避難所で課題となったのが寒さ対策です。冬の避難生活は、災害関連死につながる恐れがあります。
 仙台市防災計画課御供真人施設整備係長「低体温症対策というのは、まだまだ私どもも改善すべきところがあると感じております。床面から少し上がったところで寝られる簡易なベッドであるとか、暖房器具、燃料は非常に課題だとは考えております」

 ベッドの保管場所が無いことや燃料の安全管理が懸念されることから、仙台市では備蓄以外にも発災後の調達の仕組みを模索していて、市民には家庭でできる備えを呼び掛けています。
 仙台市防災計画課御供真人施設整備係長「普段から使っていただいている防寒具などを持ち寄って避難いただく他、例えば日常のお薬ですとか常日頃から備えていただけたらと感じております」